0097:熟睡

 それにしても。自分の性欲が激しくなってる気がする。トホホ。美女に囲まれて(中身はおばちゃんとはいえ)毎日パラダイスの様な生活をしているわけで。


 聞いて下さいよ。だってね。イリス様はいいです。ファランさんもそうです。ちゃんとこうキッチリ服も来てますし、二人とも綺麗ですけど、エロくはないのです。必要以上に近くに来られるとドキドキしちゃうことはありますが。


 酷いのはね、モリヤ隊。あのね、あの人たちね、酷いんですよ。本当に。もう。この世界は結構肌の露出に対して厳しいんですよ。なので、みんな、暑い日でも露出は控えめです。


 露出は控えめって言われても良く判らないと思うんですが、男性は長袖シャツに長ズボン。靴下もはいて、靴。短パンでサンダルなんて格好の人はいない……というか、見たことないかも。


 女性はハイネックなロングのワンピース。その上にロングのエプロン。日常の家事や作業で汚れるのでエプロンは欠かせないそう。当然長袖。スカートの下は厚めのストッキング。ナイロンとか当然存在しないので、結構厚めの生地だと思う。ガーダーベルトとかあるのかもしれないけど、その辺も判らない。怖くて聞けないし、その辺、詮索する気にもなれない。


 で。ああ、モリヤ隊の人たち。あの人たちは、俺の命令でいろんな場所で情報収集をしてくれているわけだけど、報告のため交代で戻ってくるわけです。なので、常に2~3人は別邸にいる=そこで生活をしているんだけど。


 やつらは隠密として働いているのもあって、女子の格好では無く、男子の格好なんですよ。長袖のシャツ、ズボン。で、黒いマント。まあ、マントは家では脱ぐんですが、ノルド族は信仰心が若干ゆるめで、ボタンは外し気味だったりして。基本入って来る男が俺一人ということで、女子ばかり、羞恥心が薄くなってるのかだんだん外すボタンの数が多くなってる気が……するというか。


 さらに、この世界、激しくうごく女子はさらしみたいな布を巻くみたいなんだけど、それも別邸では外している。まあ、つまり。胸元がチラチラと五月蠅いんですよ! 五月蠅い! 


 ね? 酷いでしょう? 確かにあの人たち、全員細めで胸はそれほどじゃないですけど、ちゃんとアルのです。個人差はありますが、多分、Bカップくらいはあるというか。


 これはもう、酷い……とにかく酷い。チラチラさせんな! というか、気になるっちゅーの! くそー。こっちが何も出来ないと思って! 出来ないけど!


 という恥ずかしさを誤魔化すために、八つ当たりをし。ぶっちゃけそのままパンツを洗濯物を入れておく桶に突っ込む気にもなれず。ああ! そうか! 身体を拭くお湯とタオルを持って来てもらおう! で、最後にパンツも洗って、それを桶に! ……ってなんだかなぁ。中学生時代かよ! という突っこみをするも……ふう……。


 セタシュアを呼ぼうと思って外に向かおうと思ったら、いきなりドアが開いた。前室というか、隣の使用人控えの間? にいたらしい。ちなみに、朝早い場合、様子伺いの場合はノックせずに開けてもいいんだそうだ。

 主が起きていれば、挨拶をして朝の準備手伝い。もしも寝ていたらそのままドアを閉める。まあ、確かに朝早めに起こして……なんてお願いすることもあるから、おかしいことじゃない。俺が使用人が側にいる生活に慣れていないだけか。


 とはいえ……この娘、いつから隣りにいたんだろうか? 気になってしまう。ちゃんと寝てるんだろうか? 働き者なのはありがたいけど。


「おはようございます、御主人様。体調いかがですか?」


「ああ、おはよう、大丈夫。なんか凄く休んだ気がする。お腹が空いたよ」


「それはよかったです。丸々二日お眠りになっていましたから。お腹が空くのも当然かと思います」


 へ? 二日? 寝てた? いつから? え? マジデ?


「ふつか? えっと、帰ってきて、寝て起きて、話したよね? ちょっと。あれから二日?」


「はい。ああ、旦那様がお帰りになって、半日お眠りになって、一度お話し、そのあと二日となります」


「それじゃなに? 俺は二日半も寝てたの?」


「はい」


 うわ……。ひくわ。ドン引き。そんなに体力も無いのか。この世界の人なら魔力切れで倒れても一晩でそこそこ回復するって言ってたのに。ふう……。


「それは……ちょっと寝過ぎたな。業務も滞って……」


「御主人様は働き過ぎです……あ、でも起きたらまずは急ぎファラン様の所へ」


「そうだ、よね。うん、わかった。ファランさんのとこへ行きます。しかし今回休んじゃったな〜。通常業務に戻らないと。身体を拭きたいからお湯とタオルをお願いできる?」


「かしこまりました。すぐ用意致します」




 

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る