0023:魅了? いえ技術です
ふと目が向いた臀部。まあ、わかりやすく言えば股間に、いつの間にかクッキリとした染みが出来ていた。
速いよ! それは! っていう。
しょ、正直、昨晩もそうだったが、性的な……もみ方は一切していない。
それこそ、今はちょっと離れているとはいえ、ファランさんがそばにいてこちらを見ているのだ。怪しい行動など取れるはずがない。
とりあえず……何も見なかったふりをして、足をもみほぐす。正直、太ももは軽く流す程度にしておいた。肩から背中、腕を揉んでいく。本当であれば背骨から腰なのだが……うーん。こうしている間にも染みは広がっている。
「モリヤ、昨日と同じ様にやってくれ」
え? いや、そうなの? というか、それはどうなのか。
ファランさんを見る。
どういう意味かわからないが、無言で頷かれた。え? マジデ?
「そ、それでは」
あの、うん。まあ、これはもう、とりあえず思い切りやるか。
心の中で「もう、どうにでもなーれ」の呪文を唱えながら、服越しとはいえ、背骨の両脇を親指で押しながら、下へ降ろしていく。イリス様はうつ伏せで顔を布団に押しつけている。小さいくぐもった声を発してしまうのは仕方ないだろう。
この辺からもう、なで方を変えれば……敏感な女性であれば性感帯も兼ねている……様なポイントかな……。
腰の辺りをゆっくりと、尾てい骨に向かって揉みほぐす。この辺りから肛門の上辺りは若干反応は鈍いのだが、ゆっくりとジワジワと刺激することで凄まじく気持ち良くなる。凝りがほぐれて、感じるようになる。
まあ、部位的にすでにちょっと性感マッサージの様な気もするが、純粋にデスクワーク職に就いている人の、腰の疲れを取るためにも効果的だ。
というか、元彼女専用で大好評だった。
男相手だったら……「ちょっといやかな」と思う様な場所は、大抵が性感帯で、さらに揉みほぐし効果も高い場所だったりする。
当然、講習会ではこの辺は教えてくれない。というか、セクハラに繋がる場合が多いので、異性が相手の場合、例え年配の方でも絶対に触れないようにしなければいけないと教わるのだ。
膝を強引に外側に開く。うつ伏せのまま、カエルの様に開かせる。この体勢で太ももの内側を手の甲で振動させて、指でなぞるように股関節、尾てい骨を刺激する。
イリス様の股間、ズボンがお漏らしレベルで色が変わっている。文字通り、とんでもないことになっている。
正直、こんなに濡れるもんなんだと感心してしまう。実際、服を着たままだからエロいということもあるだろう。
お漏らし系の作品で……あ、いや、ローションを使ってぬるぬるになってる作品もあったか……そのレベルで濡れている。敷いているタオルにもその部分に染みが出来上がっていた。
昨晩も核心部分には一切触れていない。イリス様は2人と経験あると言っていたが、これまでの情報を統合すると、何の経験なのかが曖昧になってきていた。そもそも、触らないで「いたす」性行為っていうのは、どういうことなのか判らなかったが。男が? 女が? うーん。そもそも気持ち良いことなんだろうか?
昨日と同じ様に、背後をじっくりと、分割して抱え込むように揉んでいく。正直、既に揉みにくい。汗も出てきている。
うーん。これなら素っ裸でローションで~の方が楽ちんで効果的で多分、気持ち良いレベルだろうけど……いや、それしたら、タダのAVのマッサージものだな。
ちょっと怪しいポイントにピンポイントで力を入れるたびに、イリス様の身体が反応する。ちびっと跳ね上がる。
ビクッ! ビクッ!
と、痙攣するような動きにファランさんが驚愕の表情を浮かべている。うん、まあ、驚くよね。こんなん。親友の痴態を見せつけられているわけだし。あーそういうAVもあったなぁ……友だちの前でどうのこうのってヤツ。
背中、背骨を中心に指でなぞりながら、外側を弄り続ける。全身から汗が噴き出して、服がぐっしょり状態だ。イヤラシイ。うーん。これ以上イヤラシイ姿を見せつけられていると、俺の理性が怪しくなってくる。さすがにファランさんがいる所で……ってことはない。
無いと思うが、いや、うん。だってさ、目の前で超絶美人が汗まみれお漏らし状態で悶えているのですよ? しかも俺のマッサージで。この時点で我慢出来ている自分を褒めてあげたい。
なんて考えていたら。ちょっと悔しくなってきたのか若干、力が入ってしまった。それに反応してイリス様がこれまで以上に大きく身体を痙攣させて脱力した。相変わらず反応が激しい。
「あの……イリス様、ファランさん、これくらいでよろしいでしょうか?」
「……」
あのファランさんが反応できていない。イリス様は当然の様にぐったりと弛緩して、朦朧としている。うーん。
「正直、あの、これ以上続けていると自分もどうにかなってしまいそうでして」
いくら俺が超絶ヘタレで変態紳士でも昨日今日と連続のお色気アタックは手に余る。正直、昨日抜いてはいるものの、目の前にこんな刺激物を用意されては、どうにもこうにもだ。
「ファランさん、どうでしょうか?」
ハッとした顔でこちらを凝視する。
「モリヤ……イリスに何をしたのだ? 魔術なのか? これは? 魔物の使う魅了の魔術……がこの様な効果だと文献で読んだような気もするが」
「え、いえ、術とかそういうモノでは無くて……単純に技術だと思うんですが」
「技術……確かに今、何か魔力が使われた形跡は無かったな……」
もう1枚タオルを持って来て未だ朦朧としているイリス様の腰あたりにかける。
「あの、やはりこの世界では……マッサージ……いや、こういう行為をすることはないんでしょうか?」
「無いな。それこそ、界渡りよりも珍しいハズだ」
「そ、そんなに?」
「ああ。それこそ、界渡りは伝説レベルで非常に情報が少ないとはいえ、私が読んだことのある歴史書や様々な古文書の中にたびたび登場している。だが、今の行為は……記述されているのを読んだ覚えがない。他人の身体を揉むとは……」
「気持ち……いいのだ。す、凄まじく……」
うつ伏せのまま、顔をこちらに向けたイリス様が呟いた。
「い、意識が途絶えそうになる……自分で筋肉をほぐしたりするのとは格が違う」
「そこまで……か」
「というか、昨日は途絶えた。深く何も考えられない、動けない状態に陥ってしまった」
「イリスが……か」
そ、そんなだったのか……。いまもイリス様は顔をこっちに向けてはいるが、身体は動かせていない。力が入らないと言われれば、確かにそんな感じだ。
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