0015:敏感
「イリス様、太ももの裏も揉んでよろしいですか? 少々、あの、多少恥ずかしいかとも思える場所ですが」
男女……いや、同性同士でもこういう接触がないということは、宗教で規制されている定番の羞恥心がそのまま倫理観に変化している場合も多い。
それこそ……それなりに文明の発達した地球の世界ですら、今でも……宗教によっては、着ている服を脱がせただけで、死刑にされてしまったなんていう事例もあった気がする。
「あ、ああ……頼む」
「はい」
うん、まあ、引き続きお願いされるということは、社会的に問題ない、気持ちいいということなのだろうか? 少なくともふざけるなやめろと思っているわけではないのは間違いない。それなら既に蹴られているハズ。
背中、腰骨の周りの筋肉を良く揉みほぐす。通常であればこのあと、尾骨の辺り(お尻の部分の骨)を揉むのだが、さすがに……うん、なので、そのまま太ももの部分、あまりお尻に近くない部分から揉み下げていく。
当然だが、ふくらはぎよりもはるかに……はるかに柔らかい。うん。なんていうか、生きの良い筋肉ってことなんだろう。
この国で最高レベルの冒険者ということは、最高レベルの筋肉ということに他ならない。さらに、これまで一度もマッサージを受けたことのない、マッサージ処女筋肉の様だ。正直、もみほぐしがいがある。
というか、ストレッチ……みたいなモノはある……んだよな。うん、準備運動で棒を素振りしたりは……してた気がするし。
太ももの肉を下に向かって波立たせる様にほぐす。本当は内ももの付け根、女性器の両脇あたりのリンパ線を刺激することで、血行が良くなり、代謝も上がるのだが……うーん、まあ、正直そこまでやったら、問答無用で切り捨てられかねん。
そういえば村の酒場で飲んだりしたときもあまり下ネタ関係が出なかった気がするしな。そういえば。ほとんどむさ苦しい(しかも大抵すえた匂いのする)男ばかりだったのに。
あれ? そういえば、女性陣はほぼ、宴会には出てなかったな……今考えるとちょっと不自然なくらい。あれ?
太ももを揉んだ後は、足を持ち上げて、股関節をストレッチさせる。これもそんなに大きくではなく、控えめに。あくまで気持ちはスポーツマッサージだ。俺が美女が相手で舞い上がっているとしても。
クチッ……。
ん? あれ? 今根元からなんか音がしたような……ってあれ? 汗の匂いと共に……ぶっちゃけ違う匂いが……わかりやすく言うとあの匂いが……。この匂い久々だ……。
と思ったら。うわっ! と、声には出さなかったが、いつの間にかビックリするくらい、イリス様の股間が……染みている。これは……濡れている。漏らしたのか? というくらい、ズボンに滲んでいる。
えっと? えっと? 手は動かしながらも、しばらくの思考停止。うん、落ち着こう。俺。
まあ、普通に考えれば「感じている」ということ……なんだろうか。
でもなぁ……ぶっちゃけ、いままで本気でマッサージしかしていない。
手つきは極力イヤらしくならないようにやってるし、しかも性感帯に近い部分はほぼ外してる。
と、考えながら片足ずつ太ももを回していく。うん、濡れてる。たまに音を立てるくらいだから……もう大洪水ってヤツだ。これはどうしたらいいものか。
俺の中の恋愛経験会議がフル回転で意見を交換し始めている。
マッサージ自体はハロワの講習の初心者講座で学んでいたし、そもそもお婆ちゃんっ子だったため慣れている。お婆ちゃんは亡くなる数年前から身体がしんどい感じだったので、最低でも毎日30分は揉んであげていた。そのせいか、講習会でもかなり上手いと褒められたのは確かだ。
でも……だからって、性的な刺激をしていないのにこんなに濡れちゃうものだろうか?
ああ、そういえば記憶の彼方だったが、元彼女がテニスサークルに所属してて、練習後疲れたと言うので揉んであげたこともあったな。……そのまま寝ちゃって、その後そういうことにもならなかったけど。
うん、マッサージしてるだけで何か美味しいめを体験したことなど一度もない。
特に女関係。つまり、いまイリス様が濡れているのは……俺のせいじゃないのかもしれない。元々濡れてた? とか? いやーさすがにここまで濡れてたら、最初にふくらはぎを揉んだ時点で気が付いてるだろ。
アレだ、今のシチュエーションとしては……AVのマッサージ企画物ってやつだな。まるっきり。
媚薬アロマとか焚かれて、欲求不満の奥さまが興奮してきて、自ら、マッサージ師の股間を弄り始めちゃうっていう。うん、何本も見たことある。で、ローションとかオイルで股間を濡らしたって感じ?
とりあえず、よくわからないが、性的に興奮しているのは間違いなさそうな気がするので、わかりやすいところを弄ってみようか……。
「イリス様、次は仰向けになってもらえますか」
「ん」
上を向いてもらう。自然に両腕は目の上に載っている。表情を見られたくない……のだろうか。なんとなく口元が緩み、肌が上気している気がする。ちょい汗ばんでいるということは、マッサージで血行が良くなってるのは確かだろう。
ぶっちゃけ、仰向けでマッサージできる場所は結構限られている。足と腕以外はほぼ、イヤラシイポイントになってしまう。
とりあえず、さっきの続きで足を中心に揉んでいく。ただし、今度は内ももから外側へ。濡れている股間から重点的に。当然だが女性器のある辺りは触っていない。
なんとなく、ちょい乱れたシャツを下に引っ張って整えてみる。イリス様は巨乳ってわけではないが、貧乳ではない。形の良いバストが明確になると共に、ノーブラのため乳首が立っているのがハッキリとわかった。
えーと。うん。感じていらっしゃると。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます