第4話 黒瀬の妹




「ハア、ハア、ハア......」

 

 今、俺がいるのは自分の部屋......

 そして、なんでこんなに疲れているのかというと......

 まあ、言うまでもないだろ、運動しているからだ。


「960、961、962......」


 運動とはいいつつ、器具を使いながらの運動だ。

 その器具の名は、なんと【フィットネスバイク】!

 これは、自分の部屋でも気軽にいつでも自転車をこげるという優れもの。

 まじで、これは買って正解だった。


「998、999、1000!よし、終わったぁ......」


 痩せたとはいえ、リバウンドしては意味がない。

 だから、俺は毎日運動は欠かさず行うようにしている。

 特に、朝の5時は格別だ!


 そしたら、いつの間にか俺の部屋はトレーニングジムへと変貌してしまったというわけだ。

 周りを見渡すだけで、ダンベル、ランニングマシンなどの器具がすぐに目に付く。


「____トン、トン......」

「ん?なんだ?」


「ちょっと入るよー、ってうわぁー、純也汗びっしょりじゃん」

「いきなり人の部屋に入ってくるなってお前かよ、珠奈しゅな


 すると、突然女の子が俺の部屋に入ってきた。 

 しかも、俺の愚痴を言いながら......


 そうだった、俺には妹がいるんだ。

 妹の名は、珠奈。

 今日、修学旅行を終えて帰ってきたのだ。


 そして、珠奈は黒髪のポニーテールで、少しかわいい見た目をしている。

 しかし、見た目とは反して、とにかく俺に対しての扱いが酷い。

 特に、俺がデブだったときは、やばかった。

 豚とは言われるし、もう手遅れとかも言ってくるし......

 

 しかも、なぜかお兄ちゃんではなく、名前で呼んで来る。

 素直に、お兄ちゃんと呼ばれたいのだが......

 まあ、珠奈はもう中3だし年頃なのだろう......多分......


「まさか、痩せるためにこんなものを使ってたなんて......」

「う、うるさいなぁ......ていうか、勝手に俺のものを触るなよ!」

「触るだけなら、別にいいじゃんか、純也のケチ!」


 うっ......もう何なんだよ。

 なぜか最近、こういう喧嘩事が本当に多くなった。

 はぁ、前までは、とても可愛かったのになぁ......

 どうして、こうなってしまったのだろうか。

 

「うわ、しかも漫画だらけじゃん。なんか、ふせん貼ってるし」

「それは、俺の研究書だ!本当に、勝手にさわるなよ!」


「け、研究書って......純也って、もしかして頭悪い?」

「頭は悪くないぞ!この前のテストでは一位だったんだからな!」

「うわ、純也の自慢話なんか聞きたくないし......」


 な、なんだ......本当にわからん。

 だって、珠奈が言い始めたじゃん......


「ま、とにかく俺の部屋から出ていってくれ」


 そして、俺は力付くで珠奈をこの部屋から押し出した。


「ちょ、ちょっと、わかったから押さないでよ!」

「はいはい、じゃあさようなら」

「わ、っちょ、も、もう、純也のケチ!」

 

「_____バタン!」


「ふぅ.....」


 やっと、静かになった。

 こんなことなら、もう少し修学旅行に行ってほしかったな......

 

 まあ、いいや。

 早く、筋トレの続きをしなければ......


「よし、じゃあもうい____」

「ピンポン......!」


「ん......?」


 すると、玄関の方から急にドアのチャイムがなったてきた。 

 こんな朝早くから誰だ......?

 

「黒瀬ー、なんか誰か来てるよ!」

「い、今行く!」


 親が荷物でも頼んだのか?

 それとも、新聞の配達員とかか.......?

 まあ、行ってみるか。

 

 そう思い、俺は急いで部屋から飛び出し、玄関の方へ走っていった。

 ふぅ、妙に緊張するな......いや、寒気か......


___________ガチャッ......


「誰で___って、朝霧さん!?」

「____お、おはよう、黒瀬君......」

「あ、おはよう......」


 なんで、朝霧さんみたいな美少女が僕の家に!?

 もしかして、忘れ物でもしたのだろうか......

 い、いや、もしかしたらいじめのことかもしれない。


「えっと、俺に何か......」

「____よ、よかったら一緒に学校へ行きませんか!?」

「は、はい.....?」


 えっ、ほ、本当にどゆこと......

 なんで、俺と学校へ行くんだ!?

 もしかして、俺を悪目立ちさせたいのか?

 あ、もう俺、完璧イケメン何だった......

 じ、じゃあなんで?


「べ、別にいいけど、すぐ用意してくる!」

「____あ、ありがとう......」


 俺は、一応このお誘いを受けることにした。 

 だって、別に断る理由が思いつかない。

 はあ、それにしても女子と登校なんて初めてだな......しかも、こんな美少女と......

 いや、彼女は一応俺をいじめてきた人だ。

 そんな、ラブコメチックなことを思ってはいけない。


「純也ー、誰だったの?」


 すると、リビングルームから珠奈の声が聞こえてきた。


「えっと、あさ、い、いや、新聞配達員だったよ」

「ふぅん......」


 あ、危なね......

 危うく、朝霧さんって言おうとしてしまった。

 一応、珠奈も朝霧のことは知っているからな......

 なぜなら、朝霧は一応美少女という名で有名だからだ。

 多分、ここら辺ではその名は広まっている。

 

 もし、そんな人と俺が一緒に登校するなんて言ったら......

 うん、絶対笑うぞ、あいつなら......

 

「うお、もうこんな時間じゃん!?」

 

 俺は急いで、いつものように顔チェックをした。


「うん、ナイスイケメンだ!」


 そして、俺は急いで自分の部屋に戻り、制服を着て、荷物を持ち玄関へといった。

 

「うぅ、やばい、また寒気がしてきた......」

 

 

 そう思いながらも、俺は震えた手で玄関のドアを開けた。


 

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