第116話 冷蔵庫が直った

 ぬりやは冷蔵庫の不調を調べ、半分まで直したところに会計がやってきた。会計は無言で冷蔵庫を直し始める。


「どうしてそんなに手際よく直せるんだ……?」


 ぬりやは驚きながら訊いた。


「たまたまこの冷蔵庫の説明書を見つけたのよ」


 慰めるわけでもなく、恩着せがましい様子もなく、会計は淡々と修理を進める。


「……こんな冷蔵庫でも、大切な思い出だったなんて、初めて知ったよ……」


 冷蔵庫が壊れたときの胸の痛みがまた思い出される。


「そういうものじゃない? それでいいと思うし、そう思えるものに囲まれてるって、幸せなことだと思う」


 修理を終えた会計は立ち上がった。


「よし! これで書記の雨濡れに専念できるわね!✨✨」


「あ、うん。ありがとうございます……」


 会計の笑顔に、絶壁女の面影を見た。雨濡れの呪いは感染型らしい……!!

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