第83話 T博士の詩

「僕はなぜ猫を被っていたのでしょう、犬なのに」


 魔王コーギーはT博士の『残酷なメシアのテーゼ』により目覚めた。


「我が道を行くこと、真実を告げること、誤りを正すこと」


 魔王コーギーはそんなことを口ずさみながら部屋の中をぐるぐると歩き回った。


「褒めます、に参加するってことは、褒めてほしいってこと?」


 コーギーの靴音が響く。


「5000字に20000字出すって、数の概念を壊しにきてるよね?」


 コーギーは思わず笑った。


「”褒めづらい”って、ここには正直者しかいないんかーい!」


 コーギーは誰もいない部屋で一人大笑いした。


「それで良かったのだ。正直に生きれば」


 コーギーはお気に入りだった包丁と斧をしまい、代わりに日本刀を取り出し、磨き始めた。

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