第79話 ゾンビ

 アマカワは神殿を出て、とりあえず旅に出ることにした。まだ何をしていいかわからないが、とりあえずこの少年僧侶がついてきてくれるらしい。


 門の外に出ると、いかにもゾンビと言った、腐って傷んだ人間が歩いている。


「異世界にもゾンビはいるんだろうけど、出だしにしてはちょっと設定に違和感あるっていうか……」


 アマカワは不満そうに言った。


「異世界にも色々ありますから。あ! あの方! 見てください! 最近ゾンビものの新連載を始めたマサさまですよ!」


 少年僧侶が指を差した方を見ると、バットでゾンビを殴り倒しまくっている一人の男がいた。


「この世界ではマッチングが大事です。ゾンビに最も強い武器はバットです。覚えていてください」


「はあ……」


「そして、マサさまはこの世界を司るCHIORIシステムに愛されし者です」


「え? なにそれ」


「CHIORIシステムは今ハルキ文体を習得中なのですが、マサさまはそれを励ましてくれましたので」


「ええ……。世界を司るシステムなのに、ひいきがすぎる……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る