怒りと不安と寂しさ


「……」


私はフロントメンバーの挨拶に答えられず、黙って下を向いていた。


青空

「あれ?シカト?」


赤星

「挨拶くらいちゃんとしない?」


金城

「いや、緊張してるんだよ、ね?」


「……」


金城さんの返事もできず、私は察してほしいというように横にいた緑川さんをチラ見した。緑川さんは何となく感づいてくれたらしく、


緑川

「ちょっ、優と話してくるわ。山本、陽気、お前らも。3人はちょっと待ってて。」


赤星

「は?」


青空

「おい」


(ガチャッ)


(バタンッ)


金城

「…」


青空

「なんだあいつ」


赤星

「あんなのがメンバーになんのかよ」


金城

「落ち着きなよ、何かあるんだよきっと」


赤星

「でもさ、俺らあの子に何もしてないぞ」


青空

「嫌いなんじゃねーの?」


金城

「落ち着きなって、俺ちょっと行ってくるから」


(ガチャッ)


(バタンッ)


金城が出ていくと、部屋には赤星と青空だけが残った。


赤星

「…」


青空

「挨拶もできないような子、迎えたくもねー…」


廊下の角に来た緑川、山本、陽気、そして優。


緑川

「ねぇ、優ちゃんさ…えっ?」


緑川が優の顔を見ると、優はポロポロと涙を流していた。


山本

「泣いてんの…?」


陽気

「なんで…?」


「ごめっ、なさっ…私っ…」


山本

「もしかして優ちゃんさ、フロントメンバー苦手なの?」


陽気

「え?」


緑川

「やっぱりそうなんだ」


「……」


小さくうなづく。


あぁ、軽蔑されただろうなぁ。せっかく笑顔満開に入れるところだったのに、ろくに挨拶もできないからこれじゃクビだ…


そんなことを悶々と考えていると、山本さんが涙が流れる私の頬っぺたをグイッと拭った。


「え…?」


山本

「…苦手であって、嫌いではないんだよね?」


私はゆっくりとうなづく。


山本

「ならさ、改善できるよ」


「…でも、どうやって…」


陽気

「俺らが協力するっ!」


山本

「南がまだ来てないから、南の考えはなんとも言えないけど、後で俺が事情話して一緒に協力してもら」


「いるよ?」


山本

「え、いつのまに?笑」


「今」


緑川

「ほんとお前ら似てるよな」


南、山本

「なにが?」


緑川

「まぁいいや、南はどういう考え?」

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