VS魔法使い

 ハーバート達、戦えるエルフの男性約800名は、ぞろぞろと、街道を避けて南下し、ハシントの国を目指した。

 そこで起きている、帝国軍からの侵略を止めるためだ。

 ハシントの国は、もともと厳しい気候だったから、それに強い作物が多く、今回の飢饉でも食物が他の国よりある。

 国民の半数が死んだとされるマグノリア帝国では、王からの命令で、優秀な魔法使いが多数、ハシントの国に送り込まれ、食物争いで市民を殺している、とのニュースは、ハーバートたちはイブハールから見ていて知っていた。

 疫病も、エルフたちの魔法でなら、エルフにはきかない。

 ハーバートたちは、リラの国でも、人通りの多い街道は避けて進んだ。

 各地で、「~~の村には行くな、はやり病で村人全滅している」とのはり紙や、飛ばされてきた新聞記事の一部を、ハーバートたちは手にした。

「本当に世界アラシュアは滅びてしまう・・・こんな状況では!なんとかならないのか・・・?!?」と、エルフの誰かが言う。

 3カ月ほどしてからだろうか、リラの国を南下し、一行はようやくハシントの国にたどり着いた。手遅れになる前にたどり着けたらいいのだが、と皆で話していた。

 とある村・・・ヴァージニアの町についた一行は、おびただしい死体を見た。町の人の多くが殺されている。

 疫病ではない。みな、鋭い刃物のようなもので切り裂かれたあとがある。魔法使いの仕業だろう。

「昨日、黒いローブを着た人たちがたくさん来たの」と、生き残っていた女の子から、ハーバート達は話を聞いた。

「その人たちが、剣を出してみんなを・・・みんなを、殺してた」と、女の子は言った。

「その人たちは、どっちの方角へ向かったか、分かるかな??」と、ロイが聞く。

 生き残った人たちから情報を集め、どうやらその魔法使いの一団は、ハシントの東に向けて向かっている、ということが分かった。

 エアレーズングの800名は、急いで、急ぎ足でそのあとを追った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る