ハシントでの内乱

(ま、ちょうど内情を探るにはいいかな)と、クロードは一人思った。


 イブハール歴6530年の冬。エアレーズングの一団は、女性はローブで長い耳を隠し、リラの地に降りたった。

 エルフは、食べ物がなくても死なない。本当は、食事自体しなくても生きていけるのだが、人生の楽しみの一つとして、イブハールで食事を楽しんでいる。

 エアレーズングの王には、ロイがなった。皆も推薦した。

 ロイは、クロード大賢者からの最期の忠告を思い出していた。

(今の、食物争いが起きているイブハールでは、エルフは人間から毛嫌いされるでしょう、くれぐれもお気をつけて)と言われたのだった。

(できれば、皆の素性を、エルフとは伝えたくないな・・・・)と、ロイは思った。

「皆の衆、話がある」と、ロイが、リラの山中で、炎をともした薪の前で言った。多くのエアレーズングの民が、しんとなり、ロイの言葉に聞き入る。

「戦えない女子供は、この安全なリラの山に留まるように!残りの戦える男性陣で、ハシントの国で起きているという、魔法使いによる一般市民の虐殺を止めて来る。神々が、昨夜、その内乱を止めれば、エアレーズングを認め、天界へ上げてくださるとおっしゃった。数名、戦える男性陣をここに残していくので、おとなしく、人間に見つからないよう、暮らすこと!!」と、ロイが叫んだ。

「上古のエルフ、ミスティーナ女王陛下、リュカオン王子、アーセラ姫、サンマルク王子が、この地に残る。残りで、ハシントの内乱を止める。厳しい戦いになるが、皆、希望をなくさないように!!」と、ロイが叫ぶ。



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