第六章 放浪の中で
イブハールをあとにして
第六章 放浪の中で
さすがにエルフ一の武芸に長けた王だな、とクロードは内心思った。
精霊魔法、王笏座の加護、神々の力・・・これらを使っても、アルハザード王には隙がなかった。しかも、ロイ殿下の報告通り、アルハザードの目は焦点があってない赤い光を出していた。明らかに、精神をのっとられている。
疲れ知らずのアルハザード王は、クロードに何度も鋭い一撃を繰り出した。
側近たちを倒したヴィンセント、クラウス、ロディ、ジラルドなどが加勢するが、アルハザード王が召喚した、死霊の国の化けものたちが行く手を阻む。
それを見ても、残ったエルフ軍(アルハザード軍)は、赤い目をしたまま、その虚ろな目で、特に不審がっていない。
やはり、みな操られている・・・エルフの王が死霊の国のモンスターを召喚しても、何も疑わないとは!!
クロードは冷や汗をかき、苦笑いしている自分に気が付いた。
「クラウスさん、ちょっといいですか、」と、アルハザードと斬り合いをしている二人・・・クラウスとクロードで、クロードが言う。
(エアレーズングの一般人には、導いてくれる武人が必要です、私がアルハザード王を食い止めますから、あなた方で、早く彼らを助けてあげてください。俺は捕まるだろうが、いずれ脱獄します。私が時間稼ぎしますから、他のヴィンセントさんたちを連れて、早く外へ!!)と、クロードが意志魔法で通信をする。短距離通信だ。
(しかし、賢者様、俺はまだやれます・・・!!)と、クラウスが叫びにも似た通信をする。
(今ならあなた方も捕まらずに済む。お願いです・・・!!)と、クロード。
「チッ・・・」と言って、クラウスは、ヴィンセントやジラルド、その他戦っている武人たちに呼びかけ、撤収することを伝えた。
「はやく!!」と、クロードが斬り合いをしながら叫ぶので、一同はしょうがなく、イブハールの外へ逃げたエアレーズングの人たちの後を追って、外に出た。
「必ず助けに来ます、大賢者様!!」と叫んで、クラウスがしんがりで、イブハールの外への通路を通り、その通路を消した。
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