王からのおふれ

次の日、ルシアが、回廊を歩いていると、向こうからアルハザード王の取り巻きたちがやってくるのが見えたので、急いでルシアは走って、自室へと戻った。

「まて、娘よ!!ルシア殿!!」と、アルハザード王が叫ぶ。

「我々とともに、エアレーズングを解散させないか?ルシア殿!!」とアルハザードが言うので、ルシアが、

「陛下、私もエアレーズングの一員ですっ!!」と言い返したのだった。

(なにぃ・・・!?!?)と、アルハザードが思う。

 すでに、アルハザードの取り巻きの一人が、ルシアに追いつき、手をつかもうとする。

「お待ちなさい!!」と、その時声がした。ミスティーナ女王だ。(彼女も、エアレーズングの一員であることを公表していた)

「アルハザード王よ、ウルドを利用しようと企むのはやめることね!」と、ミスティーナ女王。

「ちっ!!いちいち邪魔が入る!!」と、アルハザード。

「我がイブハールの誇るウルド隊の一人が、エアレーズングの一人、だとぉ?!?!許せん、許せんな!!大問題だ、ちょっとそこのルシア殿、来い!!」と、アルハザードが叫ぶ。

「おやめなさい!!」と、ミスティーナ女王。

「まったく、弱い者いじめか!」と、その時声がして、ルシアの腕をつかんでいた、赤い目のエルフが腕を斬り落とされた。

 ヴィンセントだった。

「ヴィンセントさん!!」と、ルシアが思わず言う。

「この場は任せて、ルシアちゃん、とりあえず自分の部屋へ戻りなさい。兄上様もいるはずだ」と、ヴィンセント。

 斬り落とされた腕が地面にぼとっと落ちる・・・まあ、エルフの治療で、再生するだろうが。

 ルシアは足早に自分の部屋へ逃げて行った。

「おのれぇ~~~~!!」と、アルハザード王。

(そうだ、ルシア殿は、かつて我が妻に迎え入れようとしていた娘だったな・・・これはちょうどいい、エアレーズングの一員らしいし、イブハールから追い出してやろう!!)と、アルハザードはにんまりと笑った。

 次の日、ヴィンセントにお礼を言いに行こうとしたルシアは、自室のポストに、手紙のようなものが入っているのに気づいた。

「王からのおふれ

 エアレーズングに所属するウルドたちは、みなイブハールのウルド隊から抜けよ!!とのご命令です」

 と、エルフの高官からの短い手紙だった。ルシアは、結局、イブハールのウルド隊から抜けることを承諾した。

「俺も国防長官の地位、いずれ失うかもな」と、ハーバートが言った。

「同僚の、エアレーズングに属するやつらは、みな辞職届を出させられている。俺もいずれはそうなるだろう」

「お兄ちゃん、アルハザード王のことはともかく、クロード大賢者様は、いつ助けに来て下さるの??いつ、人間界を救ってくださるの・・・・??」

「俺から、ロイ殿下に話を聞いておく。君は、先日のこともある、ここに隠れておくんだ!!」と、ハーバート。

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