ルシアの占い

このロイからの手紙に、クロード神は早急に返事を出した。


「ロイ・ガルベストン殿下へ  クロード神より


 ご理解ご協力いただき、感謝申し上げます、エルフの王族のロイ殿下。

 私にも、一つ腑に落ちない点があります。

 それは、アルハザード王が王に即位したとき、記録によれば王笏座の加護を受けることを断った、という点です。今に至っても、王は、優れた武人ながら、王笏座の加護を断っているそうです。

 宵闇の帝王と呼ばれる方なら、真っ先に食いつきそうな話なのに、断っている。

 そこにキーがあると、私は思っています。

 その点、何か調査できる手立てはないでしょうか。」


 ロイ・ガルベストンは、この元賢者からの手紙を読み、誰かに相談しようと思った。

 それで、次のエアレーズングの会合の日、信頼のおける人数百名に、このことを相談してみた。

「わたくしになら、力になれると思います」と名乗り出たのは、なんとルシアだった。

「ルシア殿、どのように力になってくださるのですか」と、ロイが尋ねる。

「知っての通り、私はウルドですので、何か水晶玉に出てくるかもしれません」と、ルシアが言った。

「ルシア、君の言う通りだ、ちょっとやってみよう!スクライング!!」と、ハーバート。

「ああ、そういえばルシア殿はウルドさんでしたね」と、ロイ。

 エアレーズングの会合部屋の一室で、ルシアは持参した小さめの水晶玉で、スクライングした。

 目を閉じ、水晶玉に全神経を集中させる。

 数十秒後、水晶玉に、墨汁のような真っ黒い影が見えた。ハーバートもそれを確認した。

「お兄ちゃん、アルハザード王も王笏座、既に持ってる、って、結果が言ってる」と、ルシア。

「・・・なんだと??」と、ハーバート。

「ううん、嘘じゃない。アルハザード王は、隠して王笏座を持ってるわ。なぜ黒い影が出たのかは、分からないけれど」と、ルシア。

 ロイも、ハーバートの隣で見ていた。

「すでに王笏座の加護を持っている、か・・・・分かった、賢者様に報告しておく」と、ロイ。



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