第三章 6人目の王笏座 「悪の王笏座」

キングのカード

第三章 6人目の王笏座 「悪の王笏座」


ルシアとハーバートの結婚から数週間して、二人の結婚を知ったアルハザード王は、憤怒の表情で、二人の部屋に足を運んだ。

「こ、困ります、陛下!!」と、アグネスと、ハーバートの従者のトレイシーが、アルハザード王を押しとどめようとする。

 だが、アルハザード王は、トレイシーを突き放し、ルシアとハーバートの部屋のドアを開けた。

「ルシア・セイレン殿・・・姓を変えられたようで、何より」と、アルハザードが嫌味たらしく言う。

 その時、ルシアとハーバートは、トランプをしていた。

「へ、陛下・・・!!」と、ルシア。

「貴殿たち、結婚したようだな。私との縁談はどうなる!」と、アルハザードが二人に厳しく問い詰める。

「アンタなんかに、俺の妹はやらねえよ!!」と、ハーバートが威嚇する。一枚のトランプをアルハザードに投げつける。

 キングのカードだ。

「アンタは確かにエルフの王の一人だ、だがな、何でも手に入ると勘違いすんなよ!!」と、ハーバート。

「覚えているがいい、私の顔に泥を塗ったことを!!いつか!!いつか復讐してやるぞ!!」と、アルハザードが腰の剣を抜こうとするので、アルハザードの従者が必死にそれを止める。

「アンタにも一つ、覚えてほしいね。俺も悪魔と契約した。二人目のファウストだ!あなたにだって負けない」と、ハーバートが言い返す。

「なにぃ??!」と、アルハザードが眉をひそめる。

「アルハザード王、とっととこの部屋から出て行きな!そのキングのカードはアンタにくれてやる。俺の中の悪魔が暴れないうちにな!!」と、ハーバートが腰の剣を抜き、アルハザードに突き付ける。

「ちっ!!」と言って、アルハザード王は足をひるがえして、マントをひるがえし、二人の部屋から出て行った。従者が後を追う。

(王笏座だ・・・あの力があれば、あのハーバートとかいう若僧を殺せる!嘘をついて、契約してやる!!)と、イライラが募るアルハザード王が、廊下を歩きながら思う。


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