ハーバート・セイレン
「ジラルド、ありがとう・・・俺には力が必要だった。どうしても・・・・アルハザードの野郎から、ルシアを守るために」
ハーバートが、剣をおろしてジラルドに呟く。
「アルハザードの野郎も、悪魔と契約していると聞く。古い悪魔と。なら、俺にもその力が必要だ」と、ハーバートが言った。
「さて、ハーバート殿下、この契約、何と名付けますか?それにて、この儀式は終了となります」
「俺の悪魔との契約は・・・ルシア、何と名付けようか?」と、ハーバートがやや緊張して言う。
「“哀の誓い”」と、ルシアが淡々と言った。
「運命が言ってるわ、私たちの運命は、行く末は、きっと哀しい未来が待ってると。それを乗り越えるための、誓いよ」と、ルシアが言った。
「なら、それでいい。それで頼む、ジラルド殿」と、ハーバートが言った。剣を、あずまやの丸テーブルの上に置く。
(よろしく頼むぜえ!??)と、ハーバートの頭の中で、声がした。悪魔の声だろう、とハーバートが思った。
(俺のことが怖いかい、宿主さん??)と、悪魔が笑う。
『うるさいぞ!』と、ハーバートが脳裏に叫んだ。口に出してはいない。
(俺は悪魔の中でも、ファウストに属する。何のことが分からないだろうが、聞け。エルフでファウストの悪魔と契約するやつは、これで二人目だ。もう一人は、そこにいるジラルドというエルフ。もう一人はお前だ。俺の名はゲラシモフ。覚えても覚えなくてもいい、俺を呼ぶときはファウストと呼べばいいからな)
と、悪魔がおもしろそうに言う。
「俺は第4の書しか知らない。だから、俺の悪魔と、君につかせた悪魔とは、似ているはずだ」と、ジラルドがハーバートに言った。
「ジラルド殿、俺の悪魔が、ファウスト、とか言ってるんだが・・・」と、ハーバート。
「そうだな、なら二人目のファウスト、ってところか」と、ジラルド。
「この結婚により、ハーバート・ペンドラゴン殿と、ルシア・ペンドラゴン殿は、別の姓を名乗られます」と、ミスティーナ女王が続けた。
「俺たちは、セイレーンの伝承をもとに、“セイレン”という姓を名乗ります」と、ハーバートが皆に宣言した。
「今日から、俺は、ハーバート・セイレン、ルシアはルシア・セイレンとなります」と、ハーバート。
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