第41話夢に会いに来る人

 メロウが潜んでいるミオリの家に、ガラクが訪ねてきた。ミオリに許可を貰って。

「メロウ、大変だったね。大変だったって、一言で済むむ問題じゃあないけど。

人は、間違う。大人だって、間違えるんだ。特に、身内が絡むと正い判断ができなくなることがあるんだよ。愛しているから惑ってしまう」

「はい、父がしたことは、まちがいだったのでしょうか?私の事を守ろうとしてくれたのです」

 ガラクにお茶を出して、メロウが、ガラクと向き合って座った。

「愛はいろいろな形をとるものだよ。僕の母方の祖父母は、母が、子供の頃亡くなった。僕は、夢の中で、彼らに会ったことがあるんだよ」

「夢の中でですか?私も夢の中でルリア様に会っています。」夢の中に現れるルリアの事を、メロウは誰にも話したことがなかった。不思議な話だし、それに、二人の大切な時間だったので。

「夢の中で、近しい人と会うことはよくある事だからね、もう、亡くなっている人とも会えることもあるよ」

「僕はね、中学生の時、祖父母に夢の中で会った。一度だけ。そのころ僕は、色々、悩みがあってね、心配かけたくないから、両親には話せないし。1人で、悩みを抱えて苦しかったんだ。そんな時、祖父母が会いに来てくれたんだよ。

僕は母から、祖父母はとても優しいい人だったときかされていたんだ。

一人っ子だった母をとてもかわいがってくれたって」

 ガラクがお茶を一口飲み、遠い目をした。

「流行り病で亡くなった、おじいさんと、おばあさんがですか?」

「うん、夢の中で、寝ていた僕の体から、意識だけが抜け出してね、気ずいたら、天井あたりに浮いていたんだ。寝ている僕の体が下に見えたよ。

頭の中に声が聞こえた、『レオン、お前のおじいさん、とおばあさんだよ、会いに来たよ』ってね。声がした方に導かれて移動した。

窓が大きく開いていてね、窓の外に、光が満ちた、花園が広がっていたんだ。もう一度声がした、『レオン』ってね。そこで、目が覚めたんだ。ベットに起き上がり、僕は泣いた.会いに来てくれたんだって、嬉しくてね。(おじいちゃんたち、あんな遠くから僕の事心配して会いに来てくれたんだね、綺麗な花園を見せてくれてさ、ありがとう、大好きだよ)って。これが、愛だよ。僕は信じた、寂しかったから、僕もおじいちゃんやおばあちゃんに会いたかったから。人は一度もあったことが無くても、愛せるんだよ、僕は、母から、二人の事を聞いていて知っていて、会いたいと思っていたんだ」ガラクが、少し涙ぐんでいった。

「僕には、心の拠り所になる、愛が必要だったんだ、何も持っていない中学生の頃の僕には、見守ってくれる人が。悲しい死に方をした二人が、僕に見せてくれた花園が僕のお守りになった。いつか、天国で会った時、ありがとうって、僕は、がん頑張ったよって言うつもりさ。いつか、会えるんだから」

「天国から、会いにきてくれたんですね」メロウが涙ぐんだ。

「君も、小さいころからルリア様のことよく聞かされていただろう?君もルリア様の事愛しているよね、だから、ルリア様が会いに来てくれてもちっとも不思議じゃないさ」

「はい、大好きなご先祖さまです」

ガラクは、お茶を一口飲み、「ボナルド国には、ルリア様の子孫がいるんだよ。あの国でもルリア様は愛されているんだ。だから、大丈夫、安心して、行ってくるといいよ」

「ルリアさまは、夢の中で、私に『メロウ、歌って』って言ってくれました」

「そうか、君は、歌姫になれるよ、君は、ルリア様に連なる人だからね」

「ありがとうございます。先輩たちが言っていました、ガラク先生が、一年前から、私たち、四人の事を、気にかけてくれていたと」

 ガラクが優しく笑った。

「いいんだよ、僕は、あの子たちに何かしてあげたかった、あの子っていうのは、子供の頃の僕と、子供の頃の母のことなんだけどね。今更何もしてあげられないから、せめて、目の前の子になにかしてあげられることをしようってね。それに、僕も高校

生の時演劇部の顧問の先生にいろいろしてもらったからね。」

 ガラクが優しい目をした、

 メロウは、わざわざ、訪ねてきてくれたガラクの気持ちが嬉しかった。「ありがとうございます。あの、先生のおかあさんは、おげんきですか?」

「二年前、病気で亡くなったよ。あの、病室に、僕の祖父母がきてたんだ、母が子供の頃、病気で死に別れてから、長い時間がたって、やっと会えた親子の再会だったんだ。僕は、泣きながら、心の中で、おじいちゃん、おばあちゃん、お母さんのこと頼むね、会えて良かったねって言ったんだ」

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