第16話
「え??あたしだけじゃなく?先生やシュルツさんも着信拒否だったんですか??あたし、、だけじゃなく??」
礼は、その週の終わり頃にレイノルズの自宅でのレッスンで、レイノルズから中本が礼以外ともドイツでの知り合いとは連絡を絶っていたのを聞いた。
本日のレッスンでの演奏が、礼が感情が落ち込んでいるのを抑えきれずに酷かったため、レイノルズに見抜かれた結果、レイノルズが話してくれたのだ。
「そうだよ。、、そんなふうに悩んでいたならもっとはやく聞いてくれたら良かったのに。
、、あと、前回のレッスンでは色々経験してほしいとは言ったが、プライベートの感情に引きづられて演奏がボロボロになるんじゃプロとは言えないね。、、明はどんなに体調が悪くても演奏を失敗したことはないよ。だからこそかなり悪くなるまで無理してしまうんだけど。
、、君はヴァイオリンを趣味ではなく、稼業にしたいんだろ?しかも今月末はコンクールで、もう月も半ば。しっかりしてくれ。」
レイノルズは礼が落ち込んだ様子で話す間は紅茶を出した上で優しく聞いてくれ、レイノルズが事情を話す間も優しい態度だったが、今日の演奏が酷い原因については厳しい言動で腕組みして指摘した。
「、、返す言葉もありません。すみません。。」
「私に謝ってどうする。君の将来のことだろ。
謝ってほしいわけじゃない、最近頑張ってたのに感情に素直すぎてコントロールできないのが残念なだけだよ。コンクールは君もわかってるように緊張とイレギュラーの場だ。、、頑張ってきたことを、出せるようなメンタルにもならないと。
、、、一か八か、君のためにやってみよう。」
レイノルズは礼に厳しく忠告したあと、携帯電話を取り出して、耳に当てる。
「先生??」
「、、私だよ。ミカエルか?まだ日本は17時くらいだよな。、、うん、、うん、、いきなり悪いな。、、そうか。それなら良かった。
、、、その、、そう。礼が明の様子をやっぱり心配していてね。、、でもあいつ、、、うん。頼んだ。じゃあまた。」
レイノルズは10分程度会話した後、一旦携帯を耳から離す。
「、、先生、今のって、」
「ミカエルは明とは大学からの付き合いで、まあ親友って言うのかもな。
、、今ミカエルは日本に滞在してるんだ。明に会いに行ったのさ。、、体調は少し良くなって、ヴィオラも少し弾き始めたみたいだ。」
「!!体調、、良くなったんですね、、前に会ったとき辛そうだったから、、な、何かあったら、、どうしようかと。。」
礼は先程まで落ち込んだ顔だったが、中本の体調が良くなっただけでも安心したらしく、ほっとした様子で微笑む。
「、、確かにあの時はちょっとあいつも落ち込んでいたけど、ああ見えて打たれ強いから大丈夫だよ。多分。
、、ミカエルからか、、明から直接か、また連絡をくれるって。
、、弾けそうか?」
レイノルズは礼が少し元気が出た様子なのを見て促す。
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