第4話-雨宮照大-

夜、親戚他人の中に一人混じって晩飯を食べる。


皆優しくしてくれるけど、それはあくまで『親をなくした子供』に優しくしているだけであって、優しくしているわけではない。


俺だって分かってる。皆が俺のことを思ってくれるのも、俺が異物だってことも。


「照大くん、学校はどうだった?」


坂田泰成さかたたいせい、48才。俺にとっては父親代わりの人だ。


俺がまだ小さな頃からよく家に遊びに来ていた。


「別に...普通かな。ただちょっと気になる人がいる。」


返事をしていると横から声が上がった。


「照大兄ちゃん好きな人できたの?」


坂田悠真さかたゆうま、10才。


元気で明るい子だ。


「好きな人じゃないよ。ただ不思議な人なんだ。」


そう言いながら食器を片付けて


「おやすみなさい。」


「最近寝るのが早いな。疲れてるのか?」


自分が家族じゃない邪魔者って認識するのが嫌なだけだ。


「うん。」


「そっか、おやすみ」


布団に入ってSNSを開く。


最近思うことがある。


なぜ人間は不思議を解明しようとするのだろうか。


「『幽霊の 正体見たり 枯れ尾花』」


知らないほうが幸せなこともあるのに。

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人生の行方を見たり枯れ尾花 紅葉ひいらぎ @momizi_hiragi

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