第3話-高尾 宮-

家に帰って弟を迎えに行って、弟と遊ぶ。


たったそれだけの事が、ひどく億劫に感じた。


何もやる気が起きず、ブランコに座る。


上から照りつける日差しは、まるで私を嫌っているかのようで。


「...そろそろ迎えに行くか。」


学校では明るく演じなければならない。


家では元気に振る舞わねばならない。


そんな人生に疲れていた。


家に帰り、洗濯物を取り込み、弟の世話をする。


「ゆーくん、こっちおいで~。」


高尾裕貴たかおゆうな、3才。私の弟だ。


「おねちゃ」


裕貴はまだお姉ちゃんと言えない。


父親が夜の9時に帰ってくるので、弟のご飯と自分のご飯を、私が用意しなければならない。


「今日はねー、ハンバーグだよー」


きゃっきゃと笑う弟を食卓につかせる。


親子3人で食事をしたことなんて、数えるほどしかない。


ましてや親子4人でなんて――。


もう見ることはない食事の風景に思いを馳せる。


みんなはこんな食卓なのかな。


『幽霊の 正体見たり 枯れ尾花』


知りたくなかったことも知ってしまった。

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