第55話

 1人で防衛陣地に向かって歩いて進む俺は目立っていたようで、防衛陣地の出入り口には既に幾人もの自衛隊員たちや選ばれし者が集まっていた。


 その中には俺が機械生命体の守る防衛陣地に向かう前に話し掛けて来た自衛隊員もいるのが見える。


 面倒くさいけど、この人たちにも話をしないといけないのだろうな。憂鬱な気持ちになりながらもゲート付近に向かわないといけないので向かって行く。


 「やあやあ無事に帰って来て良かったよ。私たちの仲間が君の後を追って向かったようだけど出会ったかな?」


 「え、ええ。会いましたよ。」


 この人との会話は苦手だ。別の人と代わってくれないかと思うが、この一団の中でこの人が1番上の人なのだと思う。


 「そうかい。それでどうかな?話が聞きたいのだけれど?」


 「もう途中で話したのでその人に聞いてくれ。俺は疲れたからもう帰る。」


 この人と話して疲れたくない。それじゃあなくても戦闘での疲れだってあるのだから。


 「それなら次にあった時にでも話をしよう。」


 兜を被って誰にも見えないが、俺は眉を顰めて嫌そうな顔をしているだろう。


 嫌な感じがする人間と話をする趣味はないし、俺は誰かに制限されて過ごしたくない。


 「気が向いたら。」


 俺はそれだけ言って集まっていた集団の隙間を通り抜けてそのままゲートに向かった。


 自分でもなんであそこまであの人間が嫌な感じがするのか分からないが、とにかくあの人とは話していたくない。


 後ろから何かを言っている声が聞こえなくもないが、そんな声を無視して真っ直ぐにゲートに向かう。


 ゲートがようやく見えて来る頃にステータスボードのゲート転移を起動させて、その中から俺がゲートに転移する前に居た場所へと直接転移する。


 次に視界に映った景色は俺の自宅だった。


 「帰って来れた。」


 自宅という落ち着ける場所に着いて落ち着いたからか、俺のお腹からぐーとお腹の音が聞こえて来る。


 【超強化再生】の多用に寄って身体の栄養が足らず、それを知らせる為に俺のお腹は鳴っているのだろう。


 とにかく俺は何かを食べようと冷凍庫から冷凍食品を取り出して電子レンジで温める間に、適当な飲み物やゼリーを冷蔵庫の中にある物を取り出して飲み食いを行なっていく。


 それから俺はお腹いっぱいになるまで飲み食いを繰り返してから、汗でベタベタする身体を綺麗に洗い流してベットに横になって一眠りした。


 ベットに入って眠りに付いてからどれくらいの時間が経ったのか分からないが、微妙に開いているカーテンの隙間からは日差しが入り込んでいる。


 「何時だ?」


 ベットの近くにスマホがないかを確認するが、スマホは近くになく仕方がないのでリビングに向かい時計を確認する。


 「8時?朝の8時か!?」


 どうやら俺は長い間を眠っていたようだ。既に朝の8時だというのなら最低でも14時間以上は眠っていたのだろう。


 とりあえずテレビを付けて見れば、そこには昨日の騒動の事をテレビでは流れており、どうやら今やっているニュースは海外の被害らしい。


 日本以外にもゲート内で防衛が成功した国もあれば、ゲート内での防衛に失敗して地球にまで侵攻されてしまっている国もあるそうだ。


 日本の近くの国も防衛に失敗してゲート内から大量の緑色の肌をしている二足歩行の生き物が大量に徘徊しているらしい。


 他にも吸血鬼世界からの侵攻を許してしまった国もあったりしたそうだが、その国の時間帯が昼間だったこともあって地球への侵攻はストップしている国に。


 ロボットやドローンが活動して大量の人間たちが殺されている国だってあるそうだ。


 幸いなことに日本は吸血鬼世界からの侵攻も機械生命体世界からの侵攻も俺のお陰もあってない。


 だからこそ、一般人は未だにのほほんとしている者がいるらしいが、政府は緊急事態宣言を既に行なっているとテレビでは流されている。

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