第54話

 この場所の機械生命体世界の兵力を率いているアンドロイドの胸部に向けて放たれた拳は、アンドロイドの胸部を破壊してそのまま貫通させずに衝撃をアンドロイドの全身に行き渡らせていく。


 衝撃が全身に響き渡ったアンドロイドの全身から大量の煙や極小規模の爆発を起こし始める。


 このまま近くにアンドロイドがいる状況だと、アンドロイドの爆発に巻き込まれてしまうからと、俺はアンドロイドに向かって蹴りを放った。


 蹴り飛ばされたアンドロイドは地面にぶつかる度に小規模の爆発を起こして行き、最終的には中規模の爆発を起こしてアンドロイドは全身がバラバラになる。


 「ふぅーー、終わった。あとはまだ残っているロボットを破壊するだけか。」


 バラバラに散らばったパワードスーツやアンドロイドの残骸を回収可能な物だか回収してから、俺は機械生命体の防衛陣地内の探索を行なっていく。


 そうして探索していると、まだ動いているロボットは丸いボール型のロボットや組み立て途中のドローンやロボットくらいしかないようだ。


 雑に動くロボットを破壊しながら探索を進めて行き、組み立て途中のドローンやロボットはステータスのアイテムに回収する。


 そうして機械生命体の防衛陣地の探索を終えて、最後に機械生命体世界に繋がるだろうゲートを見に向かう。


 「何処もゲートは変わらないみたいだな。」


 今のところ地球世界、吸血鬼世界、機械生命体世界に繋がるゲートは何処も変わらない同じゲートだった。


 何かの拍子に見間違って別の世界に向かってしまう。なんて事があるかも知れない。そんな事を思いながら、俺は機械生命体の防衛陣地から出て大阪駅に繋がるゲートを目指して歩き始める。


 歩きながらステータスを確認するがランクは上がっていなかった。流石にランクが上がったばかりだからなのだと思う。


 それに吸血鬼世界の侵略者たちとの防衛戦の時よりも苦戦していないし、機械生命体世界の侵略者の中で危険だったのは武器だけだ。


 ランクが上がっていないのを残念に思いながらも、結局は対機械生命体用の武装装備スロットのアイテムを使っていなかった事を思い出す。


 今思えばこれを使っていればもっと簡単に機械生命体侵略者のロボットたちを簡単に倒せていたのではないかと思う。


 今後は武装装備スロットのアイテムを忘れずに使うことを意識しないといけないな。そんな風に思いながら進んでいると、遠くの方でこちらに向かって来ている集団を発見する。


 俺はその一団と合流すると、その一団のリーダーと話すことになった。幸いなことに、あの時の俺のことを変に褒めてくる自衛隊員ではなかった。


 「君があの。」


 「あの。がどのあのなのかは分からないが、とりあえず相手の防衛陣地の制圧は終わったぞ。俺が回った限りでは敵は居ないはずだ。」


 「そうなのか!?」


 目を見開いて驚く者が何人も居るが、もちろん疑わしそうにしている者もいた。


 俺はとりあえず知り得た倒した敵の情報も込みで自衛隊員だろう一団のリーダーへと話していく。


 「そんな敵が指揮官だったのか。」


 俺が特にアンドロイドの事を伝えると、深刻そうな顔をする者が多くいた。特に指揮官だろうパワードスーツを着たアンドロイドの話では更に深刻そうになっていく。


 「これが回収できたアンドロイドの武器の一つだ。」


 「これがそうなのか?」


 アンドロイドが使用していた拳銃型のエネルギーガンと高周波ブレードを1つずつ渡しておく。


 今後、戦うことになるだろう機械生命体たちの使用する武器を知ることは悪くないはずだ。


 それからどの方向に機械生命体の世界に繋がるゲートと、そのゲートを守る防衛陣地のある方向があるのかを教えてから俺は一団から離れて、家に帰るために地球世界に繋がるゲートを目指して進んで行く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る