第49話

 投げ付ける様にして腕を振るった際に投げ飛ばされて叩き付けられたアンドロイドは、高周波ブレードに触れながら切り裂かれて高周波ブレードを振るっていたアンドロイドと一緒に地面に転がっていく。


 これで攻めてきたアンドロイドの数は3機とパワードスーツを着用しているアンドロイドの合わせて4機だけになる。


 パワードスーツを着用しているアンドロイドは気にしなくても良いだろう。肩部の武器は連射することが出来ない様だから。


 だからこそ今のうちに、今も切り掛かって来ているアンドロイドたちを倒すことを優先していく。


 高周波ブレードをギリギリで回避してから反撃を行なう。これで更にもう1機のアンドロイドを破壊すると、アンドロイドたちも今の俺の動きが先ほどまでとは段違いなのだと理解したようだ。


 警戒した様な仕草をしている2機のアンドロイドに俺は距離を詰めることにした。


 足に進化エネルギーを集めて部分的に強化を施してアンドロイドたちに向かって駆け寄っていく。


 前に出たアンドロイドが高周波ブレードを振るって来た瞬間にもう1機のアンドロイドも高周波ブレードを構えて接近して来る。


 このまま2機のアンドロイドを倒してしまおう。俺がそう思った時にゾワゾワゾワと背筋に感じ、猛烈に嫌な予感がした俺はその場から急いで飛び退いた。


 すると、俺の予感があったことを知ることになる。


 何故なら先ほどまで俺が居た場所に攻撃を加えていたアンドロイドたちが砲弾によって破壊されていたのだから。


 嫌な予感を信じて良かった。そう思う気持ちもあるが、仲間を気にもしないで仲間ごと俺を殺そうとして来たパワードスーツを着用しているアンドロイドへの強い警戒心が湧いて来ている。


 「目標に不発。近接戦は不利です。これから空中からの攻撃を行ないます。」


 そんな音声を流しながらパワードスーツの背部にあるスラスターやブースターを使用してパワードスーツを着用しているアンドロイドは空へと飛び上がった。


 空に逃げやがった。と思うが、俺が思っていたよりもパワードスーツを着用しているアンドロイドの飛行性能は高くないようだ。


 これなら【エナジー弾】を命中させるのも可能かも知れない。ラジコン飛行機くらいのスピードで飛び回りながらアサルトライフルを向けて来ているパワードスーツを着用しているアンドロイドに対しての感想がこれである。


 空中から小さなエネルギーの弾丸を掃射される俺だが、今の俺なら余裕で回避も可能だった。


 アサルトライフルから放たれるエネルギーの弾丸を銃口を意識しながら走ることで躱し続けていた俺は、手のひらをパワードスーツを着用しているアンドロイドに向けて【エナジー弾】を放っていく。


 「なっ!!速い!!あれは加速するのか!?」


 パワードスーツを着用しているアンドロイドのパワードスーツは、どうやら一瞬だけどブースターやスラスターを吹かして加速することが可能なようだ。


 あの加速性能を考えると、これなら確かに俺のことを一方的に攻撃することも可能であろう。


 これは不味い事態だ。俺の攻撃が当たらないが、相手からの攻撃も当たらない。この状況で新しい機械生命体側の戦力が現れるなど考えたくもない。


 それでもこのままだと今の状況を俺が保てなくなって敗北してしまう可能性がある。


 その為、俺がこの状況で何が出来るのかを考えた結果、機械生命体たちの防衛陣地に逃げ込むことだった。


 増援のロボットもドローンもアンドロイドもこちらに来ないからこそ、今の機械生命体の防衛陣地の中には敵はいないのではないかと思う。


 機械生命体の戦力も居ない無人の防衛陣地であることを祈りながら、俺は背後を気にして防衛陣地に向かって駆け出して行く。

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