第47話

 小さなエネルギーの弾丸だった事もあって武装の【金剛鎧】も俺の身体もすぐに【超強化再生】に寄って再生していく。


 もう何度かアンドロイドの拳銃から放たれたエネルギーの弾丸を受けた事があるお陰で再生速度もちょっとした耐性も付いたお陰だろう。


 俺に向けられているアサルトライフルの銃口から逃げる様にして駆けている俺に向かって、アンドロイドたちからの援護射撃が行なわれる。


 意識するのがパワードスーツを着たアンドロイドだけではなく、その他のアンドロイドたちにも向けないといけない。


 普通のアンドロイドにも意識を向けないといけないのは、アサルトライフルから放たれるエネルギーの弾丸の事もあってかなり神経を使う。


 アンドロイドの拳銃から放たれるエネルギーの弾丸を回避しつつ、パワードスーツを着たアンドロイドから放たれるアサルトライフルから放たれるエネルギーの弾丸をギリギリのところで回避する。


 そうしてこの状況にも慣れて来た頃、俺は片手に進化エネルギーと魔力を集中させる事で、右手には緑と赤のエネルギーが集められていく。


 「そこだっ!!」


 丁度、パワードスーツを着たアンドロイドとアンドロイドが重なる位置で俺は【エナジー弾】を放った。


 放たれた【エナジー弾】をパワードスーツを着たアンドロイドは回避するのだが、パワードスーツを着たアンドロイドの背後に居たアンドロイドは、パワードスーツを着たアンドロイドが陰になっていたせいで【エナジー弾】に気付くのが遅れて命中する。


 これでアンドロイドの数が10体から9体へと変わる。それを横目で確認しながらほんの少しだけ安堵した。


 アンドロイドの数が減れば、それだけパワードスーツを着たアンドロイドに集中することが出来るのだから。


 そのまま俺はアンドロイドの数を減らす事を優先して【エナジー弾】を使ったり、接近して【エナジーナックル】で一撃で破壊したりとアンドロイドの数を減らしていたのだが、アンドロイドの数が5体になる頃にパワードスーツを着たアンドロイドを含めたアンドロイドたちの戦い方が変わった。


 「一撃必殺を狙います。貴女たちは私が狙いやすい様に接近戦を行ないなさい。」


 「「「「「分かりました。」」」」」


 アンドロイドたちは一斉に拳銃を仕舞うと柄を取り出して振るい、柄から刃の刀身を出すと俺に向かって駆け寄って来る。


 俺は正直その光景を見てラッキーだと思った。アンドロイドの剣術は達人級だ。それでもアンドロイド自体の性能に寄って身体を動かす能力は俺の方が上だろう。


 問題はアンドロイドたちの連携能力くらいだ。相手は機械。その機械のアンドロイドがどれだけの連携を行なって来るのか分からないが、その連携能力が高いことを前提に俺は行動して行くことにした。


 【硬化】と【金剛化】の2つを意識的に使うことで武装の強化を施しながら、俺は迫って来ているアンドロイドだけではなく、何かしらの強力な攻撃を行なおうとしているパワードスーツを着たアンドロイドを警戒しながら戦闘を行なっていく。


 3人が俺を囲んで同時に攻撃を行ない、その後に俺からの反撃をさせまいと、残りの2人のアンドロイドが攻撃して妨害をして来る。


 その連携のせいでどうしても反撃に出られない。それに常にパワードスーツを着たアンドロイドが狙っていると思うと無茶な反撃も出来ないのだ。


 「ッ、なんだ!?」


 3人の同時攻撃からの反撃阻止の為の攻撃をアンドロイドたちが行なって来るのだが、今回のアンドロイドたちの行動は今までとは違かった。


 一斉に俺から距離を取ったのだ。そして俺はすぐに背筋がゾクゾクとした嫌な予感を感じると、その場から転がる様にして全力で距離を取ろうとした。


 けれど、それは遅かった。警戒をしていたのにも関わらず、アンドロイドたちの思いもしなかった動きで意識が逸らされたのが悪かったのだろう。


 そんな事を思いながら俺は痛みを堪えられる様に覚悟を決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る