第44話

 あのバリアさえなかったら【エナジー弾】でもアンドロイドを倒すことが出来るだろうが、今の俺にはそんな事を考える暇もない。


 上空のドローンは既に次弾を放つ準備が終わったのか、地上のロボットたちがグレネードや小型ミサイルを放ってから少しして上空から再び俺に向かって放たれる。


 それも一点集中で放つのではなく、俺が逃げるだろう場所を含めての面制圧での攻撃を行なって来たのだ。


 集中的に攻撃されなければグレネードも小型ミサイルも直撃しても大丈夫だ。それほど【金剛鎧】の防御力は高い。それでもこれだけの攻撃を受けていれば武装の中身である俺の方が蓄積されたダメージでダウンしてしまうだろう。


 今もドローンやロボットたちからの攻撃が当たるたびに【超強化再生】が発動している。


 このまま俺の身体が衝撃に強くなれれば、武装【金剛鎧】を貫通する衝撃にも耐えられる様になるはずだ。


 それが終わるまでただ耐えるのではなく、少しでもドローンやロボットの数を減らしていく為に【エナジー弾】を放ちながらロボットたちの元へと向かう。


 「チッ!!」


 ロボットたちに紛れ込んでいるアンドロイドたちが俺に向けて密度の高いエネルギーの光の弾丸を放ってくる。


 拳銃タイプの武器から放たれるエネルギーの弾丸は武装を削り取ってしまう。この攻撃の耐性を得るためにわざと武装【金剛鎧】で受けるのも良いのだが、このグレネードや小型ミサイルの波状攻撃を受けている今はそんな余裕がない。


 必死にエネルギーの弾丸から逃げ回ってしまうせいで、また少しだけロボットたちから距離が離れてしまう。


 こんな状況でも俺の集中力は研ぎ澄まされていく。闘志も湧き上がり、それに釣られる様にして進化エネルギーの増幅が行なわれて行き、今の俺は全身から緑色のオーラが放たれている。


 身体能力も通常以上に強化され使用可能な進化エネルギーの量が増えた事で、制御には苦労するが特大の威力と大きさの【エナジー弾】が上空へと放たれた。


 ドローンを次々に貫通して行きながら途中でエネルギーが爆発して、多くのドローンがエネルギーの爆発の衝撃や爆風に巻き込まれ地上に墜落されていく。


 制御力が足りないせいで途中で爆発してしまったのだろう【エナジー弾】の爆発の威力に使い所を誤ると危険なことが起こるのだと理解した。


 あの一撃でドローンの大半が墜落時に地面に激突して爆発を起こしている。グレネードや小型ミサイルが衝突の時にでも誘爆したのだろう。


 なら、俺の残りの相手は地上のロボット軍団とそれを指揮しているアンドロイドたちだけだ。


 全身から激らせる進化エネルギーで身体能力が強化されながら、俺は真っ直ぐにロボットたちへと距離を詰めていく。


 放たれるグレネードや小型ミサイル、それに紛れ込んでいるエネルギーの弾丸。そんな攻撃を掻い潜りながら先ほどよりもエネルギーを使わない【エナジー弾】をロボットたちの一角に放った。


 その一角のロボットたちは【エナジー弾】が貫いていく。進化エネルギーの使用量を減らしたことで上空に放った時の様な爆発は起こらない。


 やっぱりあの時の爆発は、大量のエネルギーを使ったせいで爆発が起こったのだろう。


 そしてようやくロボットやアンドロイドの攻撃を掻い潜ってロボットたちの一団の中に入り込むことが出来た。


 これならロボットたちもお互いを巻き込んでしまうから下手な攻撃は出来ないはず、俺はそう思っていた。


 「全機、取り囲んで自爆しなさい。」


 そんなアンドロイドの声が耳に入った瞬間に俺が入り込んだロボットたちの集団が一気に四方八方から押し寄せて来た。


 「あっ、ヤバッ!?」


 集団で迫るロボットたちから抜け出そうとしたが間に合わない。犬型ロボットたちが破壊されるのも気にせずに突っ込んで来て俺の動きを止めて、寸胴型ロボットたちが取り囲んで逃がさない。


 そして、俺をある程度取り囲んだロボットたちはアンドロイドの命令通りに自爆を行なった。


 グレネードや小型ミサイルを装備しながらの自爆は盛大な爆発を起こす。

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