第39話

 大阪駅に続くゲートを守るように囲まれている防衛陣地の壁は土壁だった。


 俺はその土壁の向こうに出ると、そこは塹壕が大量にあり、多くの選ばれし者や自衛隊員が塹壕に隠れながら機械生命体と銃撃合戦をしている。


 中には選ばれし者なのだろう。ユニークスキルなのか、それともスキルなのか、必殺技なのかは分からないが、離れて銃撃をしている機械生命体の群れへと攻撃をしている者たちもいるようだ。


 「空からもまた来ているぞ!!上に向けて攻撃しろ!!!」


 塹壕の何処からか聞こえて俺も空を見てみれば、そこには大量のドローンと思わしき機械生命体が防衛陣地に向かって移動しているのが見えた。


 他にも地面を駆けて進んで来ている犬型ロボットや寸胴型の二足歩行のマシンガンを両手に持っているロボットが向かって来ている。


 そんな中で俺も手のひらに進化エネルギーを集めて、空中を飛んでいるドローンの群れに向けて必殺技の【エナジー弾】を放った。


 今回は初めて放つからと普通に必殺技である【エナジー弾】を放ったが、真っ直ぐに進む【エナジー弾】はドローンの群れの一角に命中する。


 【エナジー弾】はドローンを貫いて行き、そのまま次々に後方のドローンを貫いて【エナジー弾】は消えていく。


 「思ったよりも凄いなこれ。もう1発だ!」


 俺は両手を空中へと向けながらスキル【エネルギー操作】を使用して進化エネルギーを意図的に両手に集めながら【エナジー弾】を放っていく。


 流石に素早く【エナジー弾】を放つことは出来ないが、10秒間隔で片手から【エナジー弾】を放つ。


 そんな風に塹壕の外に出て攻撃を加えている俺は味方からも敵からも注目の的になっている。


 味方からは早く塹壕に隠れろと言われるが、今はそれよりも多くのドローンを破壊するのを俺は優先して味方からの声を無視して攻撃を続けていった。


 そしてそんな俺を狙って機械生命体たちは攻撃を開始した。


 空中からはドローンが、地上からは犬型ロボットと寸胴型のロボットがそれぞれマシンガンのような物を向けて銃撃を行なってくる。


 けれど、大量の銃弾が俺に迫ってきているのだが、俺はそんな銃弾を何故か脅威に感じない。


 銃弾が俺の武装【金剛鎧】に命中していくが、【金剛鎧】の能力の一つ【硬化】を常時使っている影響もあるのだろうが、銃弾はほんの少しの衝撃だけを【金剛鎧】に与えるだけで俺の身体には一切の影響はなかった。


 「コイツらは俺の敵じゃないな。」


 俺は確信して機械生命体から放たれる銃撃を全て無視して、空中から迫って来ているドローンの排除に集中することにした。


 【エナジー弾】を浴びせて俺が次々にドローンを倒していくことで、空中からの攻撃が減って塹壕に隠れている者たちの多くが攻撃に参加していく。


 そうして攻撃の参加者が増えていく頃には空中のドローンの数も目に見えて減っていた。


 俺はもう残りのドローンは塹壕に隠れている選ばれし者や自衛隊員たちでも任せられると、地上から迫って来ている2種類のロボットたちへと対処を変える。


 塹壕を飛び退けるようにして迫って来ている機械生命体たちの元へと移動していく。


 そんな俺を呼び止める声が塹壕のあちらこちらから聞こえてくるが、俺は再び無視して突き進む。


 「攻撃の邪魔になるから前に出るな!!」などの声が多いが、このまま塹壕に隠れながら迫って来ている機械生命体たちを倒し続けるのは相手の戦力も分かっていない状態で俺はしたくはない。


 それに今の俺なら目の前のロボットたちも背後から迫る味方の攻撃も耐えられるはずだと思う。


 俺は一応だが【金剛鎧】の能力の1つである【金剛化】の力を発動して、攻撃力と防御力を上昇させながら先頭を走っている犬型ロボットを走る邪魔にならないように蹴り抜いた。

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