第30話
ボルビックは俺にトドメを刺す為に再び血の槍を作り出して飛ばして来た。だが、俺にはそんな自身の死の恐怖よりも上回る激情が心を支配する。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!」
これまでで感じた事のない怒りの感情。俺を庇って死んだ正樹の死を馬鹿にするボルビックの言葉に俺は感情を爆発させる。
その感情の爆発は俺の肉体だけでなく武装にまで進化エネルギーが影響を及ぼした。
今までは【超強化再生】の力で肉体や武装が壊れても再生して強化されていた。だが、今は俺の溢れ爆発した激情の感情により進化エネルギー自体が肉体と武装を極限まで強化させる。
その強化は生き物の格その物を1つ上の段階に引き上げるくらいに。これまでの人間という種族の限界を進化エネルギーな力に寄って突破した俺は肉体の再生を終わらせて立ち上がった。
目の前に迫る血の槍。それに対して俺は無造作に腕を横に薙いだ。それだけで血の槍は簡単に破壊され、辺りに血の槍を構成していた血がビチャビチャと飛び散っていく。
激情に駆られた怒りに寄って武装の全身鎧は姿を変えて禍々しい黒金色へと色彩を変化させる。
「その口を閉じて俺に黙って殺されろ。ボルビックゥウウウウ!!!!!!!!」
大地を踏み込んだ瞬間に地面にひび割れが起こり、俺はその一歩でボルビックの前に移動していた。
激情に駆られる前なら驚いて動きを止めてしまっただろう。だが今の俺はそんな些細なことを気にしないでボルビックに拳を振るって攻撃を行なう。
いきなりここまでの強さを得た俺にボルビックは反応することが出来ずにそのまま殴り飛ばされる。
錐揉み回転をしながらボルビックはクレーターの壁にあの時の俺と同じように叩き付けられクレーターの中心に埋まることになる。
「お前たち!!!我を助けよ!!!!!」
土煙りが舞うクレーターの中心で叫んだボルビックの声が戦場全てに轟く。
すると、戦場の空気が一変して全ての吸血鬼とその眷属たちはクレーターを目指して移動を開始した。
「五月蝿え声で叫んでんじゃねぇ!!!エナジーナックルゥウ!!!!!!」
大量の進化エネルギーのせいで収束が全く出来ていない。そんな状態の為か、右拳の周りには膨大な量の進化エネルギーが集められる。
拳が完全に緑色オーラに隠されて見えなくなっている状態で、俺はクレーターの中心にいるのだろうボルビックの元へと駆け出した。
「うぁああああああ!!!!!!!!!」
振り下ろされた進化エネルギーを纏う拳は未だに土煙りのせいで視界が効かないクレーターの中心を殴る。
ズドーーーーーンッ!!!!!!!!!!戦場へと響く爆音が衝撃波を発生させながら轟いた。
「手応えがない。逃げられたか!!!!」
巨大なクレーターが俺の手で出来た影響で視界は土煙りで何も見えない。
どこにボルビックがいるのか。それを確認する為にもこの土煙りが邪魔だ。
俺は土煙りを吹き飛ばす為に思い切り腕を振り回して風圧を起こして土煙りを吹き飛ばしに掛かった。
そうしてようやく土煙りが消えて視界が良く見えるようになると、俺はボルビックを探す為に辺りを見回した。
「我は逃げさせて貰うよ。せいぜいコイツらを相手にしているんだな!くっくく、あはははははは!!!!!!」
クレーターの縁にいるボルビックの姿を視認した俺に気が付いたボルビックはそう言って高笑いをして逃げ出した。
「はっ?ふ、ふざけるなよぉおおおおおおお!!!!!!!逃げるんじゃねぇえ!!!このクソ野郎がぁあああ!!!!!!!!」
クレーターの縁から姿を消したボルビックに唖然として動きを止めてしまった俺はすぐにボルビックが逃げたことを理解して叫びながらボルビックを追おうとした。
だが、クレーターの縁には大量の吸血鬼の眷属と眷属を従える多数の吸血鬼たちが俺の足止めの為に現れたのだ。
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