第26話
「ふぅ、だいぶ減ったな。」
先ほど吸血鬼を倒す前と同じくらいには動けるくらい呼吸も落ち着き、進化エネルギーはそれ以上に溢れている。
進化エネルギーの感情に寄る増幅も止まってしまっているので今の限界はここなのだろう。
何かしらの感情が大きく揺らぐ何かが起きないとは限らないが、今現在の闘争に寄る興奮以上の何かが起きるとしたら今回の吸血鬼たちを従えている吸血鬼と対峙した時だと何処かで思いながら最後の眷属を倒した。
拳を振り抜いてグールの頭部を潰して殺した体勢で残心しているが、あれほど群がって来ていた眷属も俺を眷属に襲わせていた吸血鬼も向かって来る気配はない。
それでも警戒は止めずに静かに呼吸を整えながら周りを確認すると、大量の眷属の死体が転がっている場所よりも離れた位置まで最前線が後退しているのが見えた。
どうやら俺は置いて行かれたようだ。まあ俺1人だけで行動していたのだから気にする必要はないが、俺をこの場に止めるために眷属たちを吸血鬼は動かしていたのかも知れない。
「なんだ!?」
ドオーンッ!!!!!と凄い音が前線で聞こえて来た。土煙りが上がっているが、これは選ばれし者である地球側の者が行なったのか、それとも吸血鬼側が何かをしたのか、それは分からないがあの場所ではかなりの人数がどちらも戦っていたはずだ。
そんな場所で起こった大きな音と土煙りに嫌な予感しかしない。俺の予想はあれは吸血鬼側からの攻撃だと思ったからである。
走って前線に移動していた俺は急いで走り出した。だが、まだ前線とは距離がある。このままだと間に合わないのではないかと焦燥感が湧いてきた。
前線で戦っている選ばれし者たちを攻撃している吸血鬼の眷属たちを後方から攻撃して殺していく。
周りの眷属を殺して一息吐いた時、俺は周りの選ばれし者に何があったのかを聞いた。
「俺が知っているのは少ししかないが、どうやら吸血鬼たちの親玉が前線に乗り込んで来たらしい。それだけだ。」
「そうか。ありがとう。」
負傷している者も多いなかで比較的に怪我も少なく元気な人に聞いた限りでは、あの大きな音と土煙りを起こしたのは吸血鬼たちのボスなのだろう。
「それじゃあ俺は行く。」
「止めた方が良い。死ぬぞ!」
「ゲートの方も騒がしいし、ここで行かなきゃ今までの意味もないだろ。じゃあな、さっきの情報は助かった。」
あの土煙りを起こしたくらいではないがそれでもガンッ、ガギンッなどと重い音や金属同士がぶつかり合うような音が聞こえる場所を目指して男の静止を振り切って移動を開始した。
道中で吸血鬼の眷属や吸血鬼と遭遇するがもちろん殺して進む。吸血鬼のボスという存在との戦いに高揚感が増して停滞していた進化エネルギーの増幅が増して肉体を際限なく強化していく。
強く強靭な肉体へと進化エネルギーで強化された俺の攻撃は吸血鬼でも必殺技の【エナジーナックル】を頭部と心臓へと直撃されれば一撃で瀕死に追い込むほどだ。
あれほど苦戦して倒すのにも苦労していた相手がここまで簡単に始末することが出来ることに兜の中の表情は口角が上がっていた。
身体の動きもこれまで以上にスムーズにキレが良く自分の思い通りに動くことが楽しくなり、益々俺の内部から湧いてくる進化エネルギーは増していく。
「あはッ、あははははははははははははッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
全身を覆う金属の鎧から滲み出る緑色のオーラを纏って吸血鬼やその眷属を笑いながら殺していく姿はまるで同じ人類ではないかのように感じる者が多くいるなか、俺はようやく吸血鬼たちのボスがいるだろう場所にたどり着く。
そこは大きなクレーターになっており、そのクレーターの中央では半グレのリーダーからの攻撃を防いでいた大盾持ちの男が全身血塗れで大盾を構えている姿と、そんな男を嘲笑う表情で見下している吸血鬼たちのボスの姿だった。
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