第6話
『警告です。故意による選ばれし者の防衛の妨害を確認しました。対象の思考を読み取ります。危険度A。侵略者への寝返りを考え実行も作戦としていた形跡があります。対象と縁がある者の思考も読み取ります。数人が寝返りを考えていた者がいました。寝返りを考えていた全ての対象を裏切り者とさて消去します。』
男が【ビックシールド】の必殺技で半グレのリーダーが放った衝撃波を防いだ事に周りの者たちが息を飲んでいた時に再び頭に直接聞こえてきた声にこの場の全員の動きは止まった。
「は……な、なんだよ、それ……ちょっとふざけただけだし……本気で寝返ろうなんて思ってねえぞ!!おい!き、聞いてるのかよぉ!!」
不良や半グレたちのリーダーだった田中が天に向けて叫ぶ。だが、そんな田中への返答はなかった。
そして驚くべき事が起こったのだ。地球防衛機構からの通達通りに不良と半グレの集団の内、半グレと半グレたちのリーダーだった田中の身体が手足の末端から消滅し始めたのだ。
叫び喚く不良と半グレの集団だった為、不良と半グレの集団の周りには誰もいない空間になっており、そのせいでこの場のほとんどの者たちからリーダーの田中と半グレたちの身体が消滅していくのが確認できた。
「ふ、ふざけんな!!」
「か、身体が消える!!俺の身体、消えちまうよぉおおお!!!」
「死にたくねぇ!死にたくねぇよぉ!!」
「ママぁ!!ママーーー!!!!!」
身体が消えていく田中と半グレたち。その様子にこの場の全員が特にすぐ近くで消滅していく不良たちの顔は青ざめていた。
そうして最後まで消滅に怯えた様に叫び続ける田中と半グレたちが完全に消えると、再び地球防衛機構からの連絡が始まった。
『我々が守り、あなたたちが暮らす世界を裏切る者は全て処理させて貰います。ヘルプにて何が裏切りの行為になるのかがありますので確認してください。また裏切り者からの攻撃を防いだ者へ報酬を渡します。それでは防衛を頑張ってください。』
そうして地球防衛機構からの連絡が終わった瞬間に身体を動かす事なく静止して田中や半グレたちが消滅していく姿を見させられていた不良たちは「うわぁああーー!!!!」と叫んで地球側のゲートへと向かって走り出していった。
ここに集まった前衛組の者たちの中からもこの場から立ち去ってゲートに向かう者やその場で座り込む者、泣き叫ぶ者や嘔吐している者など様々だ。
そして俺はと言うと本来なら恐怖でどうにかなっていただろう。だが、何故かそうはならず冷静に物事を考える余裕すらもある事に疑問が生じるがそれもすぐに理解する。
この状況はユニークスキル【闘争の化身】の外付けの闘争心が影響しているのだろうと。
そんな冷静な状況で辺りを警戒しながら見回していると、この状況をどうにかしようと自衛隊の一ノ瀬が声を出して宥めるがどうにもならない状況だ。
この状況を見兼ねてやってきたのは、この場にいる自衛隊の者たちの中では1番階級が上なのだろう竹中だった。
竹中は事情を一ノ瀬から聞くと大きな声で周りの者たちに落ち着く様に言いながら別の者へと指示を出していた。
そうしてしばらくして1人の女性がやって来ると突然歌を歌い始める。その歌声を聞いた周りの人達の精神は落ち着き始める。
これはあの女性の歌声が原因なのだろう。俺の中にあった怯えや恐怖どこかに消えていくが闘争心は変わらないとそう思いながら俺は女性の方を見ていると、女性は歌うのをやめて竹中が前に出てきた。
「全員、落ち着いたな。事情は一ノ瀬から聞いた。だがもう時間が既にない状況だ。申し訳ないが一ノ瀬の指示を聞いて動いて欲しい。」
竹中は頭を下げてから一ノ瀬が前に出ると今度こそ前衛組は一ノ瀬の指示で動き出していくのだった。
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