ごーよく 三

 だって、ここは外なのに。


 試着室の中なのに、ほんとはこんなことしちゃいけない場所なのに。


 みやびの声を聴くだけで、自分の身体がどんどんダメになっていくのがわかっちゃう。


 気持ちいい。


 すごく気持ちいい。


 耐えられないくらい、おかしくなってしまいそうなくらい。


 しかもそれを自覚した瞬間に、恥ずかしさに隠されていた感覚が、どんどん露わになっていく。


 みやびの声が、耳に触れるのが気持ちいい。


 吐息の熱さが、鼓膜の奥を揺らすのが気持ちいい。


 逃げられないように、手首をぎゅって抑えられるのが気持ちいい。


 私の奥をイジメるために、下腹を撫でるように擦る指の感覚が気持ちいい。


 みやびの身体の私の身体に擦りあわされて、背中にかすかに柔らかくて熱い何かが触れてるのが気持ちいい。


 一つ、一つ、自覚するたび身体が震える。どんどん私の身体と心がダメになってく。


 ほんとはこんなのダメなのに、こんなところでこんなに気持ちよくなっちゃダメなのに。


 「……あやか、そろそろ、でないとダメだから」


 そう言ってみやびが身体を離した瞬間に。


 自分でも信じられないくらいに切なくなって。


 胸の奥がどうしようもないくらいに締め付けられた。


 だから。


 だから、気付いたら口が動いてた。


 胸の奥の切なさに押されるままに。


 「……やめちゃうの?」


 言った瞬間に、みやびの瞳の奥がじっと私に向けられて、その奥になにか暗い光が灯ってるように錯覚する。


 そして、私が自分の発した言葉の、取り返しのつかない意味に気付くのは。


 みやびが無言で、もう一度、私を壁に押し倒した時だった。


















 ※




 「みやび、さすがに、ああいうところで致すのは自制しな」


 結局、水着のお店で三十分くらいの時間を潰した後、カフェに入ったところでるいにそう怒られた。


 ………………返す言葉の一つもない。


 さすがにちょっと、色欲に支配された脳が冷静になってきて、思わず肩身が縮こまってしまう。だって、誰が悪いかと言われれば、私が全面的に悪いから。ただ最後のあやかの煽りも大概だったから、そこだけは言い訳したい。いや、さすがにだめだね。私が悪い。


 「ごめん……」


 「え………………?」


 ちなみに怒ってるるいの隣で、えるはいつもの無表情でミルクセーキを啜ってる。表情的にはいつもと変わらないけれど、なんでか少し嬉しそうに見えるのは気のせいか。


 「ちょっと、調子に乗りました……」


 「『隠蔽』あるからバレてないだろうけど、近くを人が通るたびにひやひやしたかんね。それとなく店員さんが試着室に行かないよう誘導したり、声誤魔化すために大きい声でわざとらしく喋ったりさ……」


 「え、るいちゃん。え? え?」


 うーん、さすがにちょっと迷惑かけすぎたかな。四人でいるときはちょっと自重しようか。私も思いが通じたからって、いくらなんでも調子乗りすぎたかも。


 「ありがと、ごめん。ちょっと加減が効かなかった」


 「まあ、私らとしては、それは喜ばしい変化だけどさ。加減間違えるとやっぱ、おかしくなっちゃうし。えるは仕方ないって言うけれど、さすがに毎回盛られると、私は困る」


 「え……さかるって……あの、るいちゃん? ……なんで」


 ふぅと軽く息を吐いてから、すこし横目で隣の席のあやかをみやる。どことなく顔を赤くして、私とるいを交互に見ているけれど、ちょっと面白いので放っておく。


 「だよね……ほんっとごめん。以後気を付ける……」


 「そーして。てかするなら、私らに気付かれないようにこっそりやりな」


 「こっそ……え?」


 「わかった、今度はバレないようにするから。……でもした後はどうせバレない?」


 「そこはさすがに文句言わない。むしろ人にバレないならどんどんしときな、幸いあやかも嫌がってないわけだし」


 「嫌がって……え? るいちゃん? みやび? えと、これ、あの、もしかして―――」


 あたふたと、会話に置いてけぼりなあやかが顔を真っ赤にして、私たちを交互に見てくる。さて……どのタイミングで明かそうか……。


 なんて思考をしていたら、えるがぱっと顔を上げて、特有のまっすぐな視線であやかを見た。


 「……ごめんね、あやか。私達、みやびの『愛』が見えるから二人が後はすぐにわかるの」


 言葉と同時にあやかの口がぱっくり開いた。うーん、綺麗な驚いた顔。


 「つまり…………?」


 「……あんたらがしてた次の日にはもう気づいてたってこと、あとこれからもするたびに私らにはバレるよってことかな……」


 るいが少し目を逸らしながらそう捕捉する。あやかは口をあんぐり開けたまま、ゆっくりとるいに視線を向けるけれど、そっぽむいてるるいとは視線が噛み合わない。


 「……でも恥ずかしがらなくていい。みやびもそうだけど、それはとても自然なこと。人が持つ当たり前の営みの一つだから」


 「え、えるちゃん……」


 えるがまっすぐ伝えるから、なんかいい話風になっているけれど、あやかはどっちかっていうと顔を真っ赤にして、そのまま羞恥でぐにゃぐにゃになってる。まあ、実際えるは基本的に善意しかないから、悪いことは言わないんだけれど。ただ、まあ私が言えたことじゃないけれど、えるってちょっとズレてるから―――。


 

 「それと、。恥ずかしがることじゃない」



 「ふぇ――――――?」


 ―――こういうこと言っちゃうんだよねえ。


 るいと二人で、私たちはそっと天を仰いだ。


 そんな私たちの視界の端で、そろそろあやかの顔が、赤さの限界に到達しようとしてた。


 「みやびは少し嗜虐趣味があるみたいだから心配だったけど、あやかがちゃんと被虐趣味で噛み合ってるみたいでよかった。性欲の在り方が噛み合ってるのはとても運のいいこと、だからあなたたちの性的な相性の良さはとても喜ばしい。これからも遠慮なく二人は関係を―――」


 「える、える―――」


 淡々と、無機質に、なのに被虐だの嗜虐だの言い続けるえるに、るいがそっと制止をかけた。もう片方の手で額を押さえて天を仰ぎながらだけれど。


 「………………るい?」


 「そこら辺にしないと、あやかが恥ずかしさで死んじゃうから」


 なんなら、もうとっくに限界を超えているかもしれない。その証拠にあやかは今、顔を真っ赤にしたまま、両手でその顔を隠すように覆って私の肩にうずくまってしまっているから。


 多分、るいとえるにバレてたってだけでも、オーバーヒートしてたんだろうけど、加えて嗜虐だの被虐だの己の性癖を暴露されたらこうなるのも無理もないかな。まあ、言わなくてもバレていたことに変わりはないんだけれど。


 まあ、私が解っていたうえで、あやかにはなんとなく言いづらくて伝えられてなかったのも悪いわけで。


 これは慰めるのに時間かかるな、とるいと二人で目配せをして、頷きあっていたそんな今日この頃だった。






 


 おおよそ三十分ほど時間が経って、一旦るいに真っ赤になったあやかの慰めはお任せして、私とえるはカフェから少し離れたトイレまでやってきていた。10分くらいはちょっと時間を潰してこいとのお達しだったので、おとなしく二人でわざとゆっくりトイレを済ます。


 まあ、幸い空いてるからいいけれど、直す化粧もないのにトイレの洗面台で時間を潰しているのは少しだけ居心地が悪い。


 しかし、ほんと今日は調子に乗りすぎた。どうもあやか絡みのことになると、普段と違うことをしてしまう。さすがに嫌われたくもないし、自重しないとなあとため息をつく。


 なんてことをしていたら、隣でえるがじっと私のことを無言で見つめていた。


 …………何か言いたいことでもあるのかな。


 「える、どうかした?」


 私が問うと、えるは無表情のままこくんとゆっくり頷いた。


 「…………何か悩んでいるように見えたから」


 悩んでる、まあ、悩んでいると言うか、なんというか。


 「別に、ちょっと自重しないとなあって想ってただけ」


 るいに注意されたそのままだけれど、いくらなんでもちょっと調子に乗りすぎた。あやかの気持ちをちゃんと考えたら、もう少しゆっくりなペースなほうがいいはずなのに。


 「…………自重するの?」


 えるの問いに、私はゆっくり頷いた。


 「うん、いくらなんでも、ちょっと暴走しすぎ。あんまりやりすぎてあやかに嫌われちゃったりしても嫌だし…………」


 そうやって言葉を吐きだしながら、そっとえるから目を逸らす。何気なく、さりげなく、嘘はできるだけつかないように。


 「………………? 


 「………………」


 相変わらず、この『天使』は遠慮というものをまるで知らない。


 「…………それに、私に『嘘』で誤魔化そうとするのも感心しない。それとも嘘ついてる自覚ない? 今、みやびが自重しようとしてる理由はあやかのせいじゃない」


 「………………嘘ついたつもりはないよ」


 それでも『嘘』をついたんだって、えるに見られてしまったのなら、それはつまり私が無自覚にごまかしていたってことなのかな。もしくは―――。


 「…………自分で、自分に、嘘ついた?」


 「――――………………」


 喉が咄嗟に震えそうになるのを必死に抑えた。


 「…………みやび、話なら聞く。それくらいしかできないけど」


 「………………ありがと」


 口にするか、少し迷った。


 だってあまりにみっともないから。というか今、口にしようとするまで、自分でもあんまりよくわかってなかったように感じる。


 言葉にしてないからそれは私の思考にはないはずなのに、胸の奥を言葉にならない何かが必死に叩いて仕方がない。その抑えた心が少し痛くて、喉の奥にかすかにつっかえてくる。


 ちらっと横目でえるを見たら、相変わらず無機質な瞳で、私のことをじっと見ていた。


 生まれてからずっと私を見てきた観察者。


 人の理の外からやってきた来訪者。


 でも、いまはただの友人として私の隣にいる、そんな彼女。


 「…………ほんとは、ちょっと怖いかな」


 私がゆっくり言葉を漏らすと、えるもそれに合わせるみたいにゆっくりと口を開いた。


 「……何が?」


 「……その、自分の、欲って言うのかな。あれがしたいこれがしたいって気持ち」


 今日なんか、特にひどかった気がするけれど。


 「………………欲」


 「うん、なんかあやかとずっと一緒に居ると、あの子、私がやりたいこと全部肯定してくれるからさ。私が口に出してもいないことも、ほらやりたいんでしょ、やろうよって言ってくれるし、それを受容れてくれて、それで私、調子に乗っちゃって」


 「………………」


 「ほんとはもっと自制しなきゃいけないのに。ああ、あれもしたいな、これもしたいなって止まらなくなってくる。今日だって、ほんとはちょっとしたいたずらのつもりだったのに、どんどんエスカレートしちゃって、自分でも歯止め効かなくなってきて。私こんなどうしようもない奴だったかなって考えたら、ちょっと怖くなってきた……」


 「…………」


 人の罪。原初の大罪。


 それは欲に溺れること。


 溢れ出る肉欲を、獣欲を、醜い心を制御できずに暴走させること。


 魔王が司り、最も好む、人が人である以上抱え続ける、原初の罪。


 今、まさに自分がそうなっているんじゃないかと思うと怖い。というか、もうかなり自分で歯止めが効かなくなっていってる自覚がある。


 「だから、その……もっと抑えなきゃなって。今更だけど、こんな欲に溺れてたら、いつか魔王に負けちゃうから…………」


 というか、今のままじゃ、確実に負けてしまう。


 だから本当は、今日みたいにあやかと会うのも少し控えた方がいいのかもしれない。いい加減、こうも外出ばかりしていたら、あやかが教会に見つかるリスクも増えてしまうし。


 何より、今のままだと、私の心が揺らいでばかりだ。ふとした時にも、好きって気持ちが溢れ出して止まらなくなってしまう。


 それなのに、気が付いたら、あやかが遊びに誘ってくれるたびに、胸を躍らせてどうやって時間を捻出しようかと考えてる自分がいる。我ながら、ほんと理性が弱い。こんなので大丈夫なのかなあ……。


 「……………………そう」


 えるはそう小さく息を吐くと、ゆっくりと鏡を見つめた。


 「…………………………」


 呆れられただろうか、欲に溺れて何様だって感じの言葉だったし。なんかあやかのせいにしてるみたいなのも最悪だ。自分の欲に溺れるのなんて、どこまで行っても自分の責任でしかないっていうのに。


 「…………欲に溺れるのはダメなこと?」


 「…………教えではそうなってるでしょ」


 えるはその応えに、ゆっくりと少し首を横に振った。


 「……教えのことは聞いてない。みやびの考えを聞いてる」


 「そんなの………………」


 何を言っているんだこの天使は。……いや、元々、えるもるいも、教えの中の『天使』と『悪魔』とはかなり様子が違う。教えを軽んじる言葉は平気で言うし、今だってえるは人の原罪を肯定してくる。というか、るいに至ってはあの子が『悪魔』らしいことをしてるのを見たことが無い。


 そこまで考えて、ふと想う。


 そういえば、私はこの二人のことをほとんど何も知らないんだ。ただ概念上『天使』であり、『悪魔』だから、どことなく敬遠して遠ざけてきただけで。


 「…………さっきも言ったけれど、私は—――きっとるいも、みやびが今、たくさん欲望を感じているのを悪いことだとは想っていない。だって、あなたが産まれて16年、あなたがしたいと想ったことが真っ当に肯定された時間はほとんどない。いつも誰かの期待に応えて責務をこなすことしか、あなたには許されてこなかった」


 私は、ずっと隣にいた二人のことを、何を想って、どういう存在で、どうして私の隣にいるのかを。


 ―――何も知らないままなんだな。


 「……欲は、みやびの言う通り尽きないもの。一つ手に入れても、また次が欲しくなる。あやかと好き合えて、自分の気持ちを受容れてもらえて―――でも次が欲しくなる。でも、それはとても自然なこと、人を好きになると言うのはそういうことだから」


 この子たちは、どうして私の隣にずっといてくれていたんだろう。


 「……過ぎたる欲望はやがて人を傷つけ、毒になる。でもそれは隣にいる誰かのことを無視して、欲に溺れたときのこと。みやびは今、あやかのしたいことを無視して、そのうえあやかを傷つけてるの?」


 「……今日は、ちょっと無理矢理してたけど」


 「……でも、それをあやかは本心から嫌がっていない。みやびの『眼』はそれが見えるはず。もちろん、いくら眼で見えたとしても、ちゃんと言葉にして交わした方がいいけれど。それに私は本当に嫌がっていることを、無理矢理するほどみやびが見境がなくなってるとも想わない」


 えるの眼は真剣だ。いつもよどみなく真っすぐだ。


 どうすればここまで真剣になれるんだろう。


 「……試着室で盛りついちゃっても?」


 「うん。あれはるいと私がいるからどうとでも隠せたし、それを踏まえてやっていたように私には見えた。みやびがかけた『隠蔽』も完璧だった。るいが怒ってたのは、半分あの子の照れ隠しみたいなもの」


 「…………さすがにそれは買い被りすぎ」


 「……本当に?」


 「………………」


 はあ、本当に遠慮がない。えるの前では、自分にすら嘘をつくことを許してもらえない。


 「……まとめると、みやびはまだ全然素直になっていいと想う。あやかもそれをちゃんと受け容れてくれるから」


 「今も充分、欲望に素直になってると想うけど……」


 これでまだ足りないのかな。これ以上の欲望って何だろう。


 だって今の私は正直、ここ十数年で―――ううん、生まれてから一番幸せな確信がある。


 好きになった人がいて。


 その人が私のことを受け容れてくれて。


 友達と遊びに行って。


 美味しい物食べて。


 疲れたら休憩して。


 時々、痴話げんかなんかしたりして。


 そんな日々がずっと続いていくかもしれないなんて考えて。


 これ以上望んだら、罰があたりそうなくらいには幸せだ。


 だって、今までこんな幸せ、想像すらつかなかったんだから。ほんとは今あるものに充分感謝して、慎ましく過ごさなきゃいけないのに。



 なのに。



 まだ欲しがってる自分がいる。



 だって、もっと一緒に居たい。



 だって、もっと遊びたい。



 だって、もっと美味しいものが食べたい。



 だって、もっとみんなで、いろんなところに行ってみたい。



 欲しがる気持ちにキリすらなくて、溢れる想いに底なんてさっぱり見えなくて。



 それが少し怖くて、不安で、落ち着かないのに。



 なんで、まだ『これ以上』を欲しいと想ってしまっているんだろう。



 わからない、わからないまま。



 私とえるは二人して、カフェまでゆっくりと歩いて戻った。



 トイレを出るときは、えるは相変わらずの無表情だったけど、その胸の内でちゃんと私のことを考えて喋ってくれているのはわかってる。なにせ、口にする言葉に『嘘』も『欺瞞』も欠片ほども見てとれなかったから。



 だから、そう口にしてくれば言葉が、全て事実なのもわかってる。



 じゃあ、もっと素直になっていいのかな?

 


 でも、もう十分すぎるくらい、一杯叶えてもらったよ?



 したいこと、して欲しいこと。



 貰いたいもの、あげたいもの。



 もう十分なはずなのに。



 カフェに戻ると、るいとあやかがやいのやいの喋ってて、すっかりあやかの機嫌も元通りになったみたい。



 そんな二人に笑い合いながら合流して。



 それからまた四人でテーブルを囲んで、愚痴ってみたり、笑い合ったり、騒いで声出して、そんな当たり前を過ごしたり。



 帰り際、二人が見てないところで、なんとなく我慢が出来なくなってしまったから、後ろからあやかを抱きしめた。



 今度は余計なことはしない、ただ抱きしめたかっただけだから。



 あやかは最初はちょっと驚いてはいたけれど、やがてにまって笑うとぎゅっと抱き返してくれた。



 それから二人でこっそり笑い合って、前を行く二人に小走りで合流した。



 そんな私達の次の予定は海水浴で。



 海に行ったら何をしよっか。



 いっぱい遊んで、泳ぎたい。



 みんなで騒いで、笑いたい。



 美味しい物も食べて、疲れたら少し眠ってしまいたい。



 それから、ちょっといい雰囲気になったらなら、隠れてあやかを抱きしめたくて。



 今度はバレないように、こっそりまたえっちなこともしてみたくって。



 ああ、本当に止め処ない。



 溢れ出る想いが抑えられない。



 そんな自分の欲の深さに、少し呆れてしまうほどだけど。



 それでも、まだ欲しいものがたくさんあって。



 こんな幸せな気持ちが。



 いつまでも。



 ずっと、ずっと、いつまでも。



 続けばいいのにと、そう願ってた。



 ずっと、ずっと、なんて。



 子どもが抱く、淡くて儚い夢みたいに。



 先のことなんて、何一つも知らないままに。



 夏日が差す眩しい道を四人で並んで。



 私はただ。



 そんなことを願ってた。





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