第11話
「私はアーサー様にふさわしくないと思いまふ!」
「「?!」」
私がそう訴えると2人は驚愕な顔をして私を見た。
「なぜだ?!ミーシャはあのとき婚約に対して大丈夫だと言ったろう?考え直してくれ」
「まさかアーサーが何かしたのか?」
センラ国王様まで慌て始めたので私は首をブルブル振って否定した。
「いえ!そそそ、その違うんです!私がいけないんです!」
「どういうことだ?」
(話しても怒らないかな?)
私は震え出した手をグッと握ってうつむきながら説明しようとしたら、アーサー様が大きな手で私の手を握ってくれた。
「ア、アーサー様?」
「大丈夫だ。何があっても怒らない。それにミーシャがどんな人であったとしても言っただろ?絶対に逃すつもりはないと」
「……っ」
私は泣きそうになるのをグッとこらえた。そしていつの間にか震えはおさまって、深呼吸してから説明をした。
「私は引きこもりで人見知りなんです。それに髪はボサボサで肌は普通の人よりも白くて体も細くて……。えーと、食べてないのが原因なんですけど……そ、それでその、貴族じゃないし住んでるところはボロ小屋だし……えーと」
とんでもないほどスラスラと言葉が出てくることに驚いた。そんなに婚約破棄したいのかと言われればそうじゃないのかもしれない。
(もう私の負けなのかな?)
アーサー様に惹かれている自分がいるのは分かっている。でもまだ好きなのかは分からない。
「ででで、でもアーサー様に手を握っていただくと自然と震えがおさまって……。あ、えーと」
「そうか。そんなミーシャも私は好きだ」
「へ?」
私は突然好きだと言われて変な反応をしてしまった。
「どんなミーシャでも私は好きだ。引きこもりでも人見知りでも構わない。それに私と一生懸命に接しようとしてくれてるではないか」
「そそそ、そうなんですかね?」
「ああ。そんなに自分を低く見なくてもいいんじゃないか?ミーシャにはミーシャなりの誇れる部分があるではないか」
アーサー様にそう言ってもらって自然と心が落ち着いている。アーサー様は王子の一面の他にもこうして人の心を開かせる力があると私は思った。
(これは私の負けだね)
「私、まだ好きという気持ちが分かりません。で、ですがこんな私でもいいっておしゃってくれるなら、よよよ、よろしくお願いします」
「ああ!もちろんだ」
私はアーサー様と正式に婚約をすることなった。そんな私たちをセンラ国王様は親目線で私たちを見ていたのであった。
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