第6話
「一緒に暮らそうかと思ってな」
「へ?」
アーサー様は何を言っているのだろうか。私は瞬時に理解することができなかった。
「婚約もしたし互いに理解を深め合わないと思っていたのだが、俺だけか?」
「いえ、めめめめ、滅相もございません!」
私が一緒に暮らすことに渋っていたと思われたのかアーサー様が悲しそうな顔をしたので、申し訳ない気持ちになった。そのため一緒に暮らすことを肯定してしまった。
「そうか!それなら部屋を準備しないとな。明日の午後にでも……」
「わわわわ、私は魔術師ですので!箒で飛べますのでお気遣いなく!」
「そうか。では、門前に迎えに行く」
「ん?!」
アーサー様は私を抱き寄せて口づけをした。去っていくアーサー様を私は腰を抜かしたまま見ていたのであって。
ーーーー腰を抜かしてから1時間後。
パーティーは終わっていてルイさんがパーティー会場でポツンと待っていた。
「これはこれは婚約者殿。随分と遅いお帰りで」
(キレてる……)
「では、説明してもらいましょうか」
「は、はい……」
私はアーサー様とのことを漏らさず伝えた。漏らしてしまうとゲンコツが下されるからだ。それが何度かあったため身に染みているのである。
「なるほど。引きこもりであるあなたにとって大変なことになりましたね。しかも引きこもりであることを伝えておらず、一緒に暮らすことになったと……」
「は、はい。それに婚約破棄したいことを言えなくて……」
私が婚約破棄したいことを伝えるとルイさんご驚いた様子で目を見開かせた。
「は?あんな大勢の前で婚約するとか結婚を考えてるとか言われたのに破棄するとかあり得ないですよ。明日には大きく取り上げられるでしょう。もう諦めなさい」
「うぅ……」
(でも、どうしてアーサー様は私のことをこんなにも愛しているのだろう……)
私はそんな疑問を浮かばせながら箒に乗って、ボロ小屋へと帰って行った。
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