第4話

「私と婚約してほしい」

 なんだろう。頭にこの言葉しか残っていないような……。

「はっ!夢?!」

 目を覚ますと私は豪華な部屋のベッドにいた。

「夢ではないよ」

「ひぃ!」

 私はビビって布団にくるまった。なにせ私の他に1人の男性がいたのだ。

 その男性はクラウン王国の第1王子、アーサー・クラウン。

 私はなぜアーサー様が部屋にいるのか理解できなかった。

「私が婚約の申し込みをしたら気絶してしまってね」

「すすすす、すみませんでした!」

「謝らなくていいよ。突然婚約の申し込みをしてしまったんだ。仕方のないことだけれど気絶した人は初めて見たな」

 私はあのときのことを思い出して恥ずかしくなった。

「それで答えを聞かせてくれないか?」

「答え?」

「そう。婚約の申し込みの答えだ」

(突然そんなこと言われても〜)

 いつもならすぐにお断りするミーシャ。しかし、今は頭が混乱している。そのため……。

「私、なんかでいいんでしょうか?」

 ここで私は重大なミスに気づいた。

(私は何言っちゃってんの?!これは婚約オーケーみたいな返事じゃあ……)

「ああ。構わない。私はあなただから婚約の申し込みをしたんだ。そしてゆくゆくは結婚したいと思っている」

(結婚……)

 私はなんとか断らなければと思ったがもうとかすでに遅し。そしてなんとアーサー様は私の元にきて私の腰に腕を回した。

「ひゃあ?!」

「おっとすまない。ミーシャにくっつきたいと思ってしまってな」

(まだ婚約の返事してないんですけど〜!)

「それであれが返事でいいんだろう?」

「へ?」

「婚約してもいいんだろう?」

 私はもう返事をしてしまったのと同然。しかし、アーサー様は私のことについて知っているのだろうか。私が引きこもりで人見知りなことを…。

「ひゃ、ひゃい」

 断ろうと思ったのにまた口が自然と動いてしまった。質問したいことがあったのに……。

「ありがとう」

「ん?!」

 お礼を言ったアーサー様は私にキスをしてきた。私は驚きのあまり目をつぶって固まってしまった。

「こんな嬉しい日はないよ…。ミーシャ、私はあなたを絶対に話すつもりはないから。覚悟するように」

 こうして王子様からの溺愛生活がスタートするのであった。
















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