The 1st year
第4話 始まる時は大体突然。
──────────
──ねえ、カナー。
────なーに?
──あの人、なんか別れたってー。
────・・ふーん・・・そうなんだ・・・
──────────
二学期が始まってもうすぐ体育祭だ。
とりあえず、マミとは同じクラスなので、話すのは話している。というか、仲の良い男女友達という関係で落ち着いている。
もっとマミの周りから責められるかとも思ったけど、そうでもなかった。
マミがすでに話している内容を確認に来たのか、何人かに「なんで?」とは聞かれたけど、その辺は正直に答えたら納得?された。
自分的にはモヤモヤしているところはある。
でも多分、今の関係がちょうどいい距離じゃないかと、勝手に思っている。
さて、放課後だ。部活部活っと・・・。
・・・しっかし暑い。
もう9月末になるのにこの暑さ。
もう少し加減してくれてもいいんじゃないかなあ?
あれ?
あそこ、ソフト部だよな?
なんで2人しかいないんだろ?
「なぁ、ソフト部なんで2人なん?」
「あー。なんか2年の部員がいないからだろ?3年引退したから1年だけなんじゃないか?」
「はー?それどうやって部活やんの?ソフトだろ?」
「新入生はいるまで我慢するしかないんじゃね?」
・・・そりゃあ大変だ。
俺が中学校で転校してきたときに、水泳部が実質2人だったから、よく分かる。
俺の場合は幸か不幸か同級生がどんどん入ってくれて、スイミングの後輩が揃って入部してくれたから、最終的には20人くらいにまでなったけど・・・ソフトだろ?9人揃わないと試合できないじゃん。
【次の日】
・・・あー今日は4人?
あ、先輩がノックしてくれてるのか。それでも少ないな!
【さらに翌週】
ありゃ、また2人・・・。
座ってるけど、何か話してるのかな?
・・・違うか。泣いてるのか。
いつも一生懸命やっていたけど、やっぱりしんどいんだろうな。
そういえば、クラス、何組なんだろ?
────なんだ隣のクラスかい!
今の今まで気づかなかったな。
名前は・・・友達が呼んでるよな、「カナ」って。
苗字は・・・分からん。同じクラスの奴に聞いてみよう。
隣の3組には、中学の時に同じクラスだった
「なー
「あ?何?気になるん?もうトモのことは吹っ切れたんか?」
「そんなんじゃねーよ。いやソフト部、この前グランドで泣いててさ。」
「ふーん ほーん へー??」
「・・・もういい自分で名札見るわ」
「あんま女子の胸元ジロジロ見ると誤解生むぞ?」
「・・・気をつけとくわ。てか、そんなら教えろ」
「面白ろそーだからやだ。自分でやれ。」
「コイツは・・・・っ!」
「おーい、サクラ。」
「なーにー?」
「あの子、ソフト部の子の名前なに?」
「・・・なに?気になんの?」
「お前も言うこと同じかい」
「いや?ちょっと面白くなりそうだなーって」
「???」
なんなんだ全く・・・。
そーいえば、最近あの子、よくうちのクラスに来るよなあ。
誰か友達いるんかな?
【さらにさらに翌週】
・・・乗るバス一緒かあ。今まで気づかなかった。
それにしても!相変わらず!人多いな!このバスはっ・・・!
あ、珍しく空いてる空いてるけど、男が女性より先に座るのはちょっと・・・なあ。ついでに言うと、なぜ
「空いてるけど・・・・座る?」
「え?ううん、ありがとう。でも立っとく。」
「・・・わかった」
「・・・・」
・・・・これ、何かしゃべったほうがいいのか?
でも何しゃべっていいかわからん!
まだ座ってくれた方が・・・いや近い近い!
てかなんでこんなにテンパってんだ俺は!!!
【この次の日】
ガラガラ、バッタン。
あーいたいたOちゃん。あ、ちょっと椅子借りるわゴメンネ?
「朝からどーした?」
「いやそのなんだ?」
「?」
「ヤバイかもしんない」
「何が!?」
「いや、わからんのよ」
「それ俺も分からんわ」
「ヤバイかもしんない」
「だから何が!?」
多分、これは・・・。
「視界に入れば気付く」から「視界にいるか探す」になってしまった。
正直に言えば、多分「好き」になっている。
いや、まだよく知らないんだけど・・・?なんで?
【さらに数週間後】
部活終了時、同じ部活の同期が声をかけてきた。
「おーい、ちょっとこっち来いよ」
「なん?」
いや、お前から声かけてくるのは珍しいな?
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
はあ。
「お前、カナのことがスキだろ?」
?
・・・?
・・・・・・??!!?!!!
ナンデ?イツバレタ?
「・・・何で知ってる??」
「やっぱり」ニヤリ(´ω`)
「・・・ひっかけかよ」
「ちょっとこい」
帰り支度をして友達についていくと、サクラと一緒にうつむいているカナが立っていた。
え、よりによってお前が絡んでんのか!?
「え????どーいうこと?」
「そーいうことだ。両想いオメデトウ!!!あとは頑張れ?」
ハ?
ナンデスト??
リョウオモイ???
「ちょっと???」
マッテイカナイデ ココロノジュンビガ・・・!!
「・・・/////・・・」「・・・/////・・・」
「/////とりあえず帰ろうか?」
「はい・・・/////」
(・・・・どーすんだよ この状況!)
とりあえず、バスに乗って下界に降りるまでに判明したことは、名前が「カナ」ではなかったこと。「苗字の最後の文字」と「名前の最初の文字」をつないで、「カ・ナ」なのだそうだ。
紛らわしい。というか、そんなことすら知らないのになぜこんなことに突然なっている・・・?
で、帰宅後すぐにOちゃんに電話をして報告した。
「そっかー、良かったやん」
「いや良かったけど唐突すぎて」
「今から今から」
そうなんだよなあ・・・
だって「カナ」ってニックネームだって今日知ったくらいなのに・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます