7

それは12歳の誕生日を迎えたあとに起こった。


私は小学6年生になり、クラス替えもうまいこといじめとはかけ離れた面子になり、夏休みには毎日のように自転車をかっ飛ばして友人たちと遊び惚けていた。


ある日母は神妙な面持ちで私に問うた。

「○○日、パパが何してたか覚えている?」


私は何か、いつもと違う雰囲気を感じた。

そのあとも母の眼差しはどこか遠くを見ているような、何かをずっと考え込んでいる時間が増えた。


そして私たちが寝たあとに、両親がいつもの喧嘩とは違う、そんな空気を漂わせながら話し合っていることも。


「ママたち、離婚することにしたから。」

「二人はどっちについていく?」


親からそう切り出されたのは、もう冬を目前にした10月頃のことだったと思う。


私と兄は、父を選んだ。

正確には、父と祖父母、そして生まれ育ったこの家を選んだ。


母は昔父にもらったという持っていたジュエリー類を売り払い、少しだけのお金を持って家を出た。


その時から私の世界は、少しずつ、築いていたものを失い、崩壊へと足を進めたのだった。

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