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思えば母は私にたくさんのことを教えてくれた。
そして私はその教えをよく考え、胸に刻んで生きてきた。
同じ小学校へと進学した、隣のクラスの女の子がいた。
その子はおそらく未就学時代から、少し嫌煙されている女の子だった。
暴力的なのだ。他人への加減を知らない。
入学時にはあの子と仲良くしないほうがいいよ、と言われていた。
その子は母親がフィリピン人のハーフで、暴力的な行動はあるものの、利発的できれいな子だった。
私は公園で遊んでいるときに交流し、仲間にいれてあげた。
しかし気に入らないことがあると私の腕に爪を立て、血こそ出ないものの、くっきりと爪痕が残ったのだった。
「私は嫌われてるの知ってたけど、仲間に入れてあげたの。だけど、その子私の腕をつかんで、爪を立てたの。だから嫌われてるんだって思ったの。そういうこと辞めたらいいのに。もう遊びたくない」
私はそう話した。
母は、自分を変えることはできても他人を変えることはできないのよ。人に変わってほしかったら、まずは自分が変わるしかないね。そう言った。
私は母の言葉はすとんと腑に落ちた。
確かに、自分を変わることはできるけど人を変えることはできない。
いくらこちらが何を言っても、向こうに変わる意思がなければ変わることはないだろう。
そしてこの母の言葉は、私の人生を幾度となく自分へと向き直させてくれたように思う。
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