第4話 初スポット
というわけでわたくしは今スポットに来ていますわ~~!! いぇーい!!
ちちのきょか……? びありす、そういうのよくわかんない……。
「せいっ! ですわっ!」
グローシアの半分ほどの大きさ、体高5メートルはある犬のような生き物の頭部に拳を叩き込みます。メキョッといい音がしてワンコの生命活動は停止。死にましたの。
「マギコークス剥ぎ取るのは面倒ですわねぇ……。どこかに集めておきますか」
ズリズリと死体を引きずって行き、適当に岩肌のくぼみにその死体を投げ込みます。ビーコンを置いておけばジェイムス隊長たちがなんとかするでしょう。多分!
ちなみに彼らは回収しかできません。15歳以上21歳未満の許可を得ている人間以外は、スポットでマギコークスを採取すると違法なんですわよね。わたくしは12歳ですけれど……。
びありす、むずかしいことよくわかんない……。
それにしてもグローシアは素晴らしい性能です。思った通りに動いてくれる追従性。そして信じられないほど滑らかに、素早く動きます。普通のMAが24FPSだとしたら、グローシアは120FPSは出ていますわ! 我ながらわかりにくいですわね?
そしてMAの動力は操縦者の魔力です。わたくしとんでもない魔力があるみたいですから、実質無料みたいなもんですわ! 楽しいですわ~~~~~!
操縦者の魔力をマギコークスクリスタルで増幅するのですけれど、この増幅率が緑のピュアマギコークスクリスタルだととんでもない係数になるわけですわ。
以前も言いましたけど、普通のMAが足でこいで1馬力を3倍に増幅している自転車だとしたら、わたくしは10馬力の力を20倍くらいに増幅している大型バイクのようなものです。
あと操縦していると、感応器官から気持ちよくなるタイプの脳内物質がドバドバ出てきますのよね……。こりゃ癖になりますわよ。
やっぱり楽しいですわ~~~~~~!
『そこの白い所属不明機! どこの所属だ!』
◇────────────────◇
『ドフトワ
『こちらドフトワ6 ステーキ6 所属確認をしろ 不法侵入機だった場合
『ドワトフ6 パイロットはどうしますか? 寮長 オーバー』
『好きにしろ オーバー』
『どこかの新型機でしょうか? 隊長』
『わからんが方角的にウィングリーか?』
と無線まで聞こえてくるのですから、わたくしの感応器官の万能さにびっくりですわ。
『そこの白い所属不明機! どこの所属だ!』
えーと外部スピーカーのスイッチを入れてまして……。
「あーあー……。こんばんは、皆さま。わたくし、怪しいMAではございませんことよ?」
『女ですよ! 隊長』
『こりゃツイてますね!』
『今夜は楽しくなりそうだな』
……ダメみたいですわね? 流石にコクピット越しにオーラの色を見ることは出来ないですが、きっと彼らは赤いことでしょう。
リュドヴィック共和国の正式採用MA、「アクラマシオン」。見た目は
『白い不明機、大人しく投降しろ! 悪いようにはしない!』
まぁ、嘘ですわよねぇ……。
わたくし、リュドヴィック共和国は嫌いですから、こうなってしまうのもしょうがないですわね。……あれ? わたくし、この世界に好きな国なんてあったかしら?
「オラァッ! ですわ!」
『隊長ッッ!』
とりあえず前に出ていた隊長さんらしきMA……これ本当にMAですの? 遅すぎません?
とにかく隊長機のコクピットに拳を叩き込んでおきました。来世はまともな世界に生まれるといいですわね。
『撃て! 撃て!』
まるで人間が0.5倍速で動くような、ゆっくりとした動作で4メートル近くあるマシンガン? ライフル? をわたくしに発砲します。が、遅すぎますわね。
ドンドンッ! と連続した大きな発砲音が響きましたが、そこにわたくしはもう居ません。
『ドワトフ6! 現在所属不明機と交戦ちゅ……うわあああ!!』
『ピエール! クソッこんなところで……』
『あ、悪魔だ! 悪魔だ! 母さん!』
すごいですわ! 皆様こんなどこかで聞いたことあるような断末魔お上げになるんですね?
そしてわたくしは1分と経たずに、すべての敵のコクピットを潰しました。諸行無常ですわ。
「ん~……なんか冷めちゃいましたわね? 帰りましょうか」
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