第3話 仲間との出会い
学校の放課後、蓮は手芸店で新しい材料を探していた。猫のぬいぐるみを作って以来、手作りのぬいぐるみ作りにどんどん熱中していった。何かを作る喜びを知り、毎日が少しずつ楽しくなっていた。
ある日、手芸店のカウンターで並んでいると、隣にいた男子学生が声をかけてきた。
「君もぬいぐるみ作ってるの?」
蓮は驚いてその男子を見た。彼は同じ学校の制服を着ているが、今まで話したことはなかった。
「ええ、そうです。最近始めたばかりだけど。」
「俺もぬいぐるみ作るの好きなんだ。名前は翔(しょう)。君は?」
「蓮。最近、手作りにハマってるんだ。」
翔は笑顔で頷いた。「それなら、美術部に来てみない?ぬいぐるみ作りが好きな人たちが集まってるんだよ。」
蓮は少し戸惑いながらも、翔の誘いに興味を持った。彼の提案で、次の日の放課後、美術部の部室を訪れることにした。
部室に入ると、色とりどりの作品が並んでいた。ぬいぐるみや絵画、彫刻など、様々な作品が展示されている。蓮はその光景に圧倒されつつも、興味を引かれた。
「蓮君、こっちだよ。」翔が手を振って呼んでいる。彼の隣には、美術部の他のメンバーがいた。蓮は少し緊張しながらも、彼らに挨拶をした。
「みんな、蓮君だ。最近ぬいぐるみ作りを始めたんだって。」
メンバーたちは暖かく迎えてくれた。彼らはそれぞれ、個性的な作品を作っており、蓮はその才能に驚いた。彼も自分の作った猫のぬいぐるみを見せると、皆が褒めてくれた。
「すごく可愛いね!初めて作ったとは思えないよ。」部長の薫(かおる)が言った。
「ありがとう。でも、まだまだ練習が必要だと思う。」
「それなら、一緒に練習しよう。美術部では色々な技術を教え合っているから、きっと上達するよ。」
蓮はその言葉に励まされ、美術部に入部することを決めた。これからは、一人で作るのではなく、仲間たちと一緒に作品を作り上げることができる。彼の心は希望に満ちていた。
放課後の部室では、皆がそれぞれの作品に取り組んでいた。蓮も新しい作品を作り始め、翔や薫たちと技術やアイデアを交換した。彼らとの交流を通じて、蓮は自分のスキルがどんどん向上していくのを感じた。
ある日、薫が文化祭の話を持ち出した。「今年の文化祭で、美術部の作品を展示するんだ。蓮君も一緒に出品しない?」
「僕も…出品していいの?」
「もちろんさ。君の作品は素晴らしいし、きっと多くの人に喜ばれると思うよ。」
蓮はその提案に胸が高鳴った。自分の作品を多くの人に見てもらえるチャンスだ。彼は一生懸命に作品を作り上げることを決意した。
こうして、蓮は美術部の仲間たちと共に、次の目標に向かって歩み始めた。彼の世界はどんどん広がり、毎日が充実していく。蓮はまだ知らない。この出会いが、彼の人生をさらに豊かにしていくことを。しかし、確実に彼の心は開かれ、輝きを増していった。
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