天狗4
…………。
…………。
…………。
「西総合病院乳幼児大量虐殺事件の犯人を特定しました」
「報告しろ」
「現場にて高純度の妖素反応を検知。測定の結果、混血天狗の妖堕ちと判明しました」
「身元は?」
「…………」
「…………どうした?」
「データベース内に妖力波形が完全一致する個体を確認。個体名ーー烏丸旋風。諜報部『鴉』元筆頭……彼女が、事件の犯人です……」
「……………………………………………………そうか」
「…………」
「早急に討伐隊を編成する。アレは…………強いぞ」
「そう……ですね」
「あのバカは……どうして……」
「局長」
「なんだ? 」
「私達に……いえ、私に……筆頭の討伐を任せて貰えないでしょうか?」
「…………オマエらに、出来るのか?」
「出来ます。やらせて下さい。筆頭の足を追えるのは私達しか居ません。それに……これは私の責任です。あの時、筆頭を引き止められなかった、私の……ッ……!だからお願いしますッ!」
「分かった。烏丸の処分はおまえらに任せる。必ず息の根を止めろ」
「ありがとうございます」
…………。
…………。
…………。
「何処ッスかー?何処ッスかー?」
「赤ちゃん。赤ちゃん」
「見つけたッスよー」
「アレ?アレ?」
「コレは違うッスねー」
「いらないッス」
「赤ちゃん。赤ちゃん」
「お母さんッスよー」
「うーん。似てないッス」
「コレも違うッスねー」
「スパッと捨てちゃっうッスー」
「コレも違う。アレも違う」
「お母さんとお父さんの赤ちゃん」
「何処ッスかー?何処ッスかー?」
「あっ、ここに居たッスか?」
「お母さんから離れちゃダメじゃないッスか」
「間違ったッス」
「捨てるッス」
「おっちょこちょいッスねー」
「お父さんもそう思うッスか?」
「そこが可愛いッスか?」
「ヒヒッ、ダメッスよ。赤ちゃんが見てるッスー」
「そうッスね」
「これからも家族3人仲良く暮らしまスよ」
「幸せに暮らすッス」
「他には何にもいらないッス」
「だから早く赤ちゃん見つけるッス」
「お父さんも見つけるッス」
「ヒヒヒッ」
「何処ッスかー?何処ッスかー?」
「あっちの方ッスかねー?」
「今、お母さんが会いに行くッスよ」
「待っててください」
「必ず見つけてあげるッス」
「ヒヒヒヒヒッひひひヒヒヒヒヒひひひひひひッッッ」
…………。
…………。
…………。
某月某日。
都内、複数の医療施設で起きた連続大量虐殺事件。乳幼児ばかりを狙って殺害した、その凄惨な事件は世間を震撼させた。
犯人は天狗種の混ざり者が完全な妖堕ちを果たした全転者とされる。
外討局はこれを討伐対象と指定。討伐にあたった諜報部『鴉』は壊滅的な被害を出しながら辛くも対象を討伐。討伐は完了するも多数の犠牲者を出し実質的には相打ちのような形となった。
容疑者が妖堕ちした原因は不明。後日、対象の遺体を司法解剖するも妖堕ちに至る原因は見つからず、これといった異常は見られなかった。
…………。
…………。
…………。
「ツムジお姉ちゃん」
「…………ッ!?」
烏丸旋風は飛び起きる。
「あ、アレ…………?ここは…………」
首を振って周囲の状況を確認する。
薄暗い部屋。ベットの上。そして隣には裸の青年。
自分も裸だ。
全身に嫌な汗がベッタリと張り付いており不快感が凄い。オマケに酷く頭が痛い。頭の中をミキサーで掻き回されたかのようだ。気持ちが悪い。吐き気がする。
「うなされてたみたいだけど大丈夫?悪い夢でも見た?」
「自分は……今まで何をやって……蓬くんと連絡がつかなくて……それで……それから……あんな事を……」
「何言ってるの?俺はちゃんとココに居るよ?」
「そ、そうッスよね……」
「ツムジお姉ちゃんは仕事終わって、俺の家まで来て、夕飯一緒に食べて、そらからめちゃくちゃえっちな事してた……そうでしょ?」
「そ、そう、ッスね。そうだったッスね……」
あれは全部、夢……?
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