天狗2
「ふぅ……。コッテリ絞られたッスねー。でへへ」
「あっ、筆頭。おつかされ様です」
「お疲れッスー!でへへ」
仕事中にサボっていた件でかなり長めの説教をくらい始末書が確定した烏丸旋風であったが、その表情に反省の色は一切ないーーどころか、これでもかとダラしなく緩みきっていた。
その様子に疑問を覚える烏丸の部下の一般女性局員。
「説教された割にはご機嫌ですね……。なにかありました?」
「あー、分かっちゃうッスかねー!やっぱりバレちゃいまスかー!自分から放たれるこの幸せオーラはやっぱり気が付かれちゃうッスねー!これは参ったッスー!」
「うざッ……。筆頭は仕事サボって何をしてたんですか?」
「聞いて欲しいッスよー!実は実は遂に自分にも春が来たんスよ!」
「怪獣騒ぎの調査に行ってたんですよね?なんでそんなことになったんですか……」
「ちょっと海でナンパされちゃいましてー!」
「筆頭をナンパ……?とんだ物好きも居たものですね」
「それでそれでぇー。盛り上がっちゃいましてぇー。その勢いのままホテルに……」
「えっ!?まさか遂に処女卒業したんですか!?あの筆頭がっ!?ナンパ男に手篭めにされて食べられちゃったんですか!?」
「でへへっ。そうッス。食べられちゃったッス」
「うわぁ……。いくら処女捨てたいからってそんな……それ、ドブに捨てたみたいなもんじゃないですか」
「そんなことないッスよ!ちゃんと愛のある初体験だったッスよ!」
「いやナンパ男に都合よく遊ばれたとしか思えないんですけど?」
「そんなことないッス!そんなことないッス!蓬くんが自分を都合のいいオナホ扱いしたなんてことはないッス!だって蓬くん自分のこと可愛い可愛いって、いっぱい褒めてくれて、いっぱい愛してくれたッス!」
「絶対、騙されてますよ」
「そんなことないッス!そんなことないッス!証拠に、ほら!蓬くんと一緒に写メったラブラブツーショットがあるッスよ!」
「どれどれ……ーーって!これハメ撮りじゃないですか!?ホントにズッポリとヤッちゃってますね!?」
「あっ……。見せるの間違ったッス……。コッチじゃなくてコッチっスね」
「……………………随分と若いですね?」
「年下ッス」
「学生ですか?」
「そうッスね」
「大学生ですよね?」
「違うッスね」
「まさか……高校生……?」
「そうッスね」
「未成年じゃないですか!?」
「いや。成人はしてるッスよ」
「そんなわけないでしょう!」
「本人がそう言ってたんで」
「そんなわけないでしょう!」
「蓬くんウソつかないッス」
「すっかり騙されてる!?」
「恋愛に年齢なんて関係ないッス!」
「歳いくつ離れてるんですか!?」
「10コぐらいッスかね」
「10コ以上でしょうが!」
「細かいこと気にしたらダメッスよ!」
「細かいことも何も事案ですよねコレ!?いくら出会いがないからって高校生に手を出しちゃダメでしょ公務員!」
「なんスか!?そうやって自分と蓬くんの仲を引き裂くつもりっすか!?蓬くんは誰にも渡さないッスよ!蓬くんを養ってあげるのは自分ッス!自分がバリバリ働いて蓬くんには専業主夫になってもらって自分が仕事から帰ったら「おかえりなさい」って言ってもらうッスよ!金ならあるッス!」
「あっ、コイツ。学生に貢ぐ気満々だ。男をダメにする都合のいい女だ。ダメ男に引っかかって痛い目見るタイプのバカ女だ」
「でへへっ。お姉ちゃんはお仕事でお疲れっすよぉ。だからぁ蓬くんにたっぷり癒して欲しいっすぅ。もう、ダメッスよぉ。明日も仕事なんスからぁ。ちょっとは寝かせて欲しいッスぅ。いやんいやん」
「あっ、もしもし警察ですか。はい。局の田辺です。はい。実はウチの職員がーー」
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