天狗
「…………ヤッちまったッス」
自分。29歳独身。公務員。
現在。ラブホテルの一室。ベットの上。全裸。
隣を見るとそこにはスヤスヤと眠る同じく全裸の青年。
状況が状況であるからして、自分がこの青年とパコったことは火を見るより明らか。
つーか、記憶バッチリありまスし。
初体験だったですし。
イヤー、良かったスわー。三十路前に処女捨てられてホント良かったスわー。危うく、いきおくれのババアになるとこだったスよ。
幼い頃から修行修行。青春時代も修行修行。就職してからは仕事仕事。出会いも無く。浮いた話も無く。そもそも休みがほとんど無く、こき使われーーまあ、自分らみたいな混ざり者の扱いなんて、そんなもんなんスけどね。
このまま独り身で一生を終えるのかと絶望感しかなかったんスけど。
ギリギリセーフッス!
じゃなくて。
その相手。
大人びた印象を受ける青年ではあるが、おそらく未成年。
成人女性が未成年男子をラブホ連れ込んで1晩の過ち。
……ギリギリアウトッスかね?
これもしかして事案だったりするッスかね?
ナンパされて楽しく遊んだ勢いでそのままホテルイン。ひと夏の思い出パコパコ作っちまいましたね。
自分の初体験がこんなかと思うところはあるにはありまスけど。
昨日は楽しかったスわー……。
仕事放り出して何やってんすかね、自分。
ヤバ……職場から鬼のような着信数ガガガ。
よし。見なかったことにするっス!
ふう……。
チ〇ポ気持ちよかったなぁ。
生ハメセッ〇スマジで半端ないッスね。意識ぶっ飛んだっスよ。
あっ。思い出したらムラムラしてきッスね。
でも、相手は未成年なんスよねー!
訴えられたら問答無用で敗北からの逮捕&懲戒免職待った無しの事案……。
いや、待つッス。待つッス。
明らか未成年なんすスけど、まだそれをちゃんと確認した訳じゃ無いス。そして、確認をしなければ未成年だということは確定しないワケッスよ。
それに青年も「ハタチダヨ」って言ってましたし。明らかにカタコトで嘘でしたけど。そう言ってましたし。
つまり……。
ギリギリアウトはセーフだったんスよ!(?)
いいっすね?なんも問題は無かったッス。
それに黙っときゃバレやしないッス。
これは勝ち確ッスわー!
だから大丈夫ッス!
なんも問題は無かったッス!
「そうそう。大丈夫大丈夫」
「ひょっ!?お、起きてたんスか……。お、おはようございまス」
「ツムジお姉ちゃんおはよう。昨日は盛り上がったね。お姉ちゃんとっても可愛かったよ」
「そっ、そうッスか?て、照れるッスー……」
「だいぶ激しくしちゃったけど身体の方は大丈夫?何処か痛いところない?」
「いやー、何処も何ともないっスよ。自分こう見えて頑丈なんで」
「そっか、それは良かった」
「それに……」
「それに?」
「いやー、なんつーんスかねー。自分的には、ちょっと激し目の方がぁ……」
「よかった?」
「そ、そッスね……」
「なるほど」
「アッ……!ちょっ……!そ、そこは……ダメッスよぉ……」
「まあまあ」
「うぅう……。自分のこんな貧相な胸……そんな弄って楽しいッスか……?んんっ……」
「ツムジお姉ちゃんのちっぱい可愛くて好き。ほら。こんなビンビンになって一生懸命に自己主張してるよ?ホント可愛いね」
「んアッ……!あんまりイジメちゃダメッスよぉ……」
「そんな蕩けた顔で言われても説得力ないなぁ。本当にダメ?そんなに嫌なら、やめた方がいい?」
「うっ……えっと……その……。もっと……」
「もっと?なに?声が小さくて聞こえないけど?ちゃんとおっきな声でハッキリ言わないと分からないよ?」
「も、もっと……!し、して欲しいッス……!」
「ツムジお姉ちゃんはえっちだね。もっとイジメて欲しいんだ」
「は、はい……」
「それなら何処をどうして欲しいのか、ちゃんと言葉にしてはっきり言わないと」
「やっぱり意地悪ッスよぉ……。その……自分のーー」
あー……。
自分、今、とてもじゃないけど人には見せられない表情してるッスよ、絶対に。
不味いっスね。
これはズブズブにハマっちゃいまスね。
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