第1話 転生
「だぁっ!大学遅れる…って転生したんやった…」
あの日死んでから、説明が雑すぎる時空神の黒猫に会って転生した今日。
まだ自分の姿とか家族とかを見ていない。そもそもここがなんていう王国だったか、自分の身分も正直覚えてない。
…黒猫のせいだなこれは。
『シーラ様!いい加減起きてくださいってば!!』
「うぇえいびっくりしたぁ!!」
『…なんだ、もう起きてるのね。』
「…いって」
突然、私の腕に痛みが走った。
痛みが走った腕を見てみると…。
…針の刺し跡が数カ所…まじかいな。誰かがやったのか自分でやったのか…。
にしても真っ白な肌だ。よほど日光を浴びたくなかったんだな、この王女。
…外に出れない理由とかあったのかな。
『あら、痛むのね。その傷。罰でも食らったんじゃない?』
嫌味っぽく行った後、そいつはくすっ、と笑った。
…え、こいつ侍女ちゃうの。普通手当とかするんじゃないの。
…こいつやん犯人。
「おまえやろ」
『…は?』
「腕に針刺しとんのおまえやろ、てかごめん名前なんていうの君。」
『は、はぁ?!』
「うち王女なんやろ?せやったらあかんやん、王女に傷つけてるってことやん」
『!?』
…間違ってないはず。だって傷つけてて、しかも私は王女…らしいし?
「あとごめん、顔洗いたいんやけど水ある?あと石鹸とか」
『は、はぁ…?』
「…え?」
なんか驚いてる?言ってることは間違ってないだろうし、侍女なら普通準備するだろうし…
…まさかとは思うが…この王女いじめられてた??
そういうことならこの状況になるのはわかる。てかそれしか考えられない。
明らかに動揺していた。
予想だが…この王女はかなり内気で臆病だったんじゃないか?
弱々しくて元気がない王女だったとか?
こんな真っ白い肌も、いじめられたくなくて外に出なかったっていう理由ならば説明がつく気がする。
…あの黒猫野郎…。
『はい…持ってきましたよ!…ッチ。なんで私が…』
…おいおいおい、泥水持ってきやがったぞこの女。
『はい。これで顔洗って…って。きゃああ!!』
「喰らえぇ!」
バシャッ!!
私はその泥水を思いっきり侍女の顔にぶっかけた。
おかげで侍女の顔は泥まみれ。
『なにをするのっ!』
「なにすんのはこっちのセリフや、ボケ!王女相手にやっていいことと悪いことあるやろがい!!」
『!?』
「君、もうやめちゃえば?侍女。」
『は、は…?あ、あの…』
「うんそれがいいわ。やめなよ、辞退しな。自分で自分のことやったほうが早いわ」
「シ、シーラ様っ、あんた今日おかしいわ!なんでっ』
「?」
『なんでそんなに今日は堂々としてるのよ!昨日まで腰抜けだったじゃないっ!急にこんなっ…っ!?』
「失礼やのぉっ!!謝れぇ!!」
私はその侍女の顔を思いっきりひっぱたいた。
《続く》
異世界転生先の王国の王女に転生してもうたわ 夜神 @Yagami_Ray
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界転生先の王国の王女に転生してもうたわの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます