第134話
カロンのユニークスキルを奪う。
そう決心したはいいものの、問題はどうやって奪うか、だよな。
一応、俺の強奪スキルがユニークスキルを奪うことが出来るのか出来ないのかを置いておくのなら、今からだって奪おうと思えば奪える。
ただ……今そんなことをしたら、絶対に俺が疑われるよなぁ。
「大丈夫ですか? ラムお姉さん。今からでも、僕が上手く言ってやめさせましょうか?」
そして、どうするのが最適かと色々と考えながらも、カロンの父親に報告? が終わり、今、俺たちは訓練場の前に立っていた。
俺とあの騎士が決闘をする為だ。
「大丈夫だよ。……でも、現役の騎士と戦うのはやっぱりちょっと怖いから、もしも私が勝つことが出来たら、ご褒美が欲しいなぁ……なんて言ってみたり?」
自分の発言にこれ以上無いほどの寒気を覚えながら、俺は勝負に出るためにカロン以外の誰にも聞こえないように小声でそう言った。
こういう時、やっぱり体が女体型だったら、胸を強調しながら言ったりしたんだけど……まぁ、無い物ねだりをしても仕方がない。
「ぇっ? ご、ご褒美、ですか? えっと、じゃあ、ラムお姉さんが勝つことが出来たら、僕のお小遣いから金貨10枚を出しますよ」
思っているよりも魅力的な提案が出てしまったけど、それでも俺は首を振りながら、口を開いた。
「んー、それもいいんだけど……私は君と……カロン君とデートがしたいなぁ」
こいつの反応的に俺を嫌っては無い……どころか、多分好意的に思ってくれてると思うから、これは勝算のある勝負だと思う。
「ぼ、僕とですか!?」
「……うん。カロン君のそのスキルがあったら、また誰にもバレずに抜け出せよね? ……多分、他の人にバレたら絶対反対されちゃうから、出来ればそれでこっそりとまた城を抜け出して、一回でいいから、ご褒美として私とデートをして欲しいなぁって……ダメ、かな?」
あー、キモイ。
本当に、キモイ。
マジで吐きそうだ。
でも、スキルの為だ。これくらい、我慢出来るし、するしかない。
「わ、分かりました……そ、その、ラムお姉さんが勝ったら、明日の朝、僕とラムお姉さんが出会った場所の近くにある噴水の前で待ち合わせをしましょう」
「うんっ! それじゃあ、カロン君とのデートのために、絶対勝ってくるね!」
「は、はぃ……が、頑張ってください」
そんな言葉を背後に、俺はあの騎士が木剣を準備しているところへ向かった。
「どうぞ。……一応言っておきますけど、やめるなら今のうちですよ」
決闘っていうくらいだから、真剣とかを使うものだと思ってたんだけど……まぁいい。
そう思いつつ、渡された木剣を受け取った。
「負けないから、大丈夫だよ」
ついさっきまでは別に負けてもいいって感じだったけど、カロンとの約束がある以上、もう絶対に負けられなくなったから、俺はそう言った。
ここで勝ったところで、本当にカロンが誰にも言わずに来てくれるかは分からないけど、あの反応と何度も家出をしているらしい情報から、悪くない賭けだと思う。
変身スキルなんて絶対欲しいし。
「……そうですか。……では、隊長、手間をかけますが、開始の合図をお願いします」
そんなことを思いつつ、ある程度お互い距離を取ったところで、隊長? らしき人間が開始の合図を出してくれた。
……よし、殺す気は無いけど、最悪殺してしまっても絶対に勝とうか。
……あ、いや、殺してしまった場合カロンに怯えられるか? ……よし、殺さないように絶対に勝とう。
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