第43話
最近はずっと殺伐としてた毎日だったし、たまにはこうやってのんびりと草むしりなんかをするのも悪くないのかもしれない。
もしも過去に戻れるのなら、つい数分前までそんなことを考えていた愚かな俺を俺は思いっきりぶん殴ってやりたい。
依頼を受けて、依頼の場所に小狐を連れて移動してきた
なんだよこの庭の広さ。
デカすぎるだろ。
これだけの広さがある庭の草むしりをして、あれだけの報酬……ギルドっていうのはブラック企業かなんかなのか?
……まぁいい。
ここでちゃんと綺麗に草むしりをしておけば信頼度はちゃんと上がるだろう。
報酬が少ないことは分かってたことだし、もうこの依頼は信頼度の為だけだと割り切ろう。……まさかこんなに広い庭だとは思ってなかったけど、何事も割り切ることが大事だ。……多分。
「小……お前、今更なんだけど、草むしりって分かるか?」
俺たち以外に誰かが近くにいる気配なんてないけど、一応俺は小狐とは言わずに小狐にそう聞いた。
俺は元人間だったから分かるけど、小狐は最初から魔物だろうし、分からないかもと思って。
「……」
すると、小狐は俺の言いつけを守って何も言わずに俺の方を見つつ頷いてきた。
……分かるのか。
分かるのなら、説明の必要が無いし俺としても都合が良くていいんだけど、なんで分かるんだ? どこでそんな知識仕入れたんだよ。
親狐が案外人間世界での常識? みたいなのを教えてたりするのかな。
親狐なら魔物ではあるけど絶対知ってそうだし。
「なら、さっさと終わらせよう」
そう思いつつも、正直俺にとっては別にどうでもいいし、そう言って仕事にかかった。
すると、小狐も俺に続くようにして草をむしり始めた。
……早くももうこのまま小狐に任せて俺は休んでようかな、なんて考えが浮かんできてしまったが、親狐のことを思い出して直ぐに首を横に振り、仕事に没頭しだした。
「…………これだけやってやっと半分かよ」
真面目にやってたら終わる気がしない。
今更だけど、何かいいスキル無かったかな。
(ステータス)
レベル:257
名前:無し
種族:盗賊スライム
スキル:超音波Lv10、嗅覚強化Lv10、暗視Lv10、不意打ちLv10、打撃攻撃耐性(小)Lv10、聴覚強化Lv8、聖魔法耐性(極小)、毒生成Lv10、毒耐性Lv10、糸生成Lv10、噛みつきLv10、打撃攻撃Lv10、ファイヤーボールLv7、ウォーターボールLv8、隠密Lv2、俊敏Lv2、威圧、痛み耐性Lv2、農家Lv3、農具扱いLv2、地震、魔法耐性、我慢Lv3、投擲、体術、身体強化(小)、囮、咆哮Lv2、霧Lv2、透明化Lv3、透過Lv2、適応、瘴気耐性、弱点生成Lv2、風の刃Lv2、風圧Lv2、光るLv3、ライトLv3、フラッシュLv4、沼化Lv8、幻覚、悪夢、弓術、硬化Lv2、空間作成Lv2、不死身Lv2、人化Lv2
ユニークスキル:強奪Lv2
称号:転生者
久しぶりにステータスを見たけど、レベルはあんまり上がってないな。
もしも俺がゼツにトドメを刺していたのなら、どれだけ上がっていたんだろうな。
……まぁ、今はそんなことより、草むしりに使えるスキルか。
ファイヤーボール……は焦がすだけだし、毒生成も庭を終わらせるだけで信頼度が上がるどころか下がるだけだろうし、ダメだよな。
風の刃ってのはどうだ? ……そっちもダメだな。さっきの二つよりはマシだけど、草は根元から毟らないと意味が無いだろうし。
……うん。ダメだな。まったく使えるスキルが無い。そもそもの話、戦闘ならともかく、草むしりなんかに使えるスキルがあるわけないだろ。
「はぁ」
大人しく自力で頑張るか。
小狐だって文句一つ言わずに黙々と働いてるんだからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます