第37話
「え」
殺しても問題が無い。
そう思った瞬間、放り投げたい気持ちを抑えて小狐をゆっくり地面に置いた俺はまずはとばかりに顔面に向かって思いっきりぶん殴ってやった。
すると、そいつの顔面はぐちゃぐちゃになって体ごと地面に向かって転がっていった。
どう見ても相手がただの人間な以上、あれは戦闘不能だろう。
……確かに思いっきり殴ったは殴ったけど、まさか一撃で終わるなんてな。
もしかしたらだけど、これ、俺のレベルのおかげか?
……今まではスライムの体だったからレベルの恩恵ってのを感じにくかったけど、人間の体になったからレベルを上げている恩恵を感じやすくなった、とかさ。
それかこの人化スキルはゼツから奪ったものだから、ゼツの力も上乗せされてるとか? ……いや、それは無いな。もしもそうなんだったとしたら、かおがぐちゃぐちゃになるどころか、普通に頭が吹き飛んでると思うし。
親狐が来てからはなんか小物っぽかったゼツだけど、実際はめちゃくちゃ強かったからな。
だったら、やっぱりこの力の理由はレベルかな。
「お、おい、だ、大丈夫か!?」
俺が色々とこの力の理由を考えていると、俺が殴り飛ばした男に向かって他の二人の男が取り乱したようにそう聞いていた。
どこをどう見ても大丈夫には見えないけど、俺が殴り飛ばした男がリーダー的存在でパニックになってたりでもするのかな。
……まぁ、どうでもいいか。
小狐がなんか空気を読んで攻撃しないでいてくれているうちにさっさと終わらせよう。
いつ小狐の気が変わるか分かったものじゃないからな。
……そして、小狐の気が変わってこいつらが小狐に殺されたって親狐のことがある以上、怒るに怒れないし。
そう思った俺は、心配? をしている男二人も思いっきり殴った。
目の前で男を一人吹き飛ばしてるのに、何故か明らかに油断してたし、簡単に倒せた。
全員平等に顔はぐちゃぐちゃになってるけど、まだ死んでは無いはずだ。
……まぁ、普通に殺しとくか。
最初からそのつもりだったし。
そして、一人ずつ頭蓋骨を完全に割って俺は三人の男を殺した。
(強奪)
【強奪できるスキルを確認出来ませんでした】
【強奪できるスキルを確認出来ませんでした】
【強奪できるスキルを確認出来ませんでした】
「……」
三人全員スキルを持ってねぇのかよ!
……チンピラになっている所を考えると割と当然なのかもしれないけど、一人くらい何かしらのスキルを持っていてくれてたっていいだろうが。
「キュー?」
人化したことにより、俺が目に見えてガッカリしているのが分かったのか、小狐は不思議そうに首を傾げながらそんな鳴き声を上げていた。
「はぁ……なんでもない。そろそろ行くから、もう一度服の中に隠れてくれ」
「キュー!」
嫌がったりせず大人しく小狐が服の中に入ってくれたことに安堵しつつ、俺は歩き……出そうとしたところで、足を止めた。
そして、さっきの男たちの死体を漁り始めた。
よく考えたら、スキルは持ってなくても誰かから奪った金だったりを持ってるかもしれないからな。
「あっ、これは……銅貨、か? ……多分、金だよな」
これはラッキーかもしれないな。
スキルを持ってなかったのは残念だったけど、これで一文無しでは無くなったはずだ。
他の男からも何枚か銅貨を手に入れた俺は、今度こそ歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます