第16話

 地竜との戦い以降も色々と俺の見た事のないような魔物が現れてきたりしたのだが、地竜はこの辺の魔物の中でも特別強いやつだったのか、単に地竜と俺の相性が悪かっただけなのかは分からないが、超音波の連射で倒せるようなら魔物がほとんどだった。

 ただ、もちろん地竜同様超音波が効かない奴もいたのだが、そっちはウォーターボールと毒生成の合わせ技で余裕で倒すことが出来た。

 

 レベル:375

 名前:無し

 種族:スライム

 スキル:超音波Lv10、嗅覚強化Lv10、暗視Lv10、不意打ちLv10、打撃攻撃耐性(小)Lv10、聴覚強化Lv8、聖魔法耐性(極小)、毒生成Lv10、毒耐性Lv10、糸生成Lv10、噛みつきLv10、打撃攻撃Lv10、ファイヤーボールLv7、ウォーターボールLv8、隠密、俊敏Lv2、威圧、痛み耐性Lv2、農家Lv3、農具扱いLv2、地震、魔法耐性、我慢、投擲、体術

 ユニークスキル:強奪

 称号:転生者


 そんな俺の今のステータスはこんな感じだ。

 レベルは上がったが、あまり新しいスキルは増えていない。

 スキルのレベルが上がったものもあるが、それもほんの少しだ。

 やっぱりいくら俺個人のレベルが上がってもあの洞窟の奥に居た存在に勝つには強いスキルが必要になってくると思うし、まだ洞窟に戻ることはなく、相変わらず隠密スキルを発動させたまま森の中を歩いていると、突然、人間? の声が聞こえてきた。

 

「おい、もう帰るぞ。目当ての魔物も捕まえたんだ。これで一生俺たちは遊んで暮らせるぞ」


「分かってますって、兄貴。こんな危険なところに長居したいだなんてオイラも思ってませんよ。さっきの謎の地響きの件だってありますからね」


 一瞬、あの村にゴブリンを討伐しに来た人間が何かの確認のために奥まで進んで来たのかと思ったけど、話している内容的にそれは直ぐに違うと否定することが出来た。


 だからこそ、俺はこっそりと草に隠れるようにして、声が聞こえた方向を覗き見た。

 隠密スキルを使っているとはえ、さっき地竜にはバレたからな。


 すると、そこには武器を持った人間二人が居た。

 当然と言うべきか、持っている武器は俺にとってのチュートリアル村の人々が武器にしていたような農具では無く、ちゃんとした剣を持っているようだ。

 地響きはさっき俺が倒した地竜のものだと思う。

 ただ、目当ての魔物っていうのはなんだ? あの小さな檻? のようなものに入れられてる子狐のことを言っているのか? だとしたら、あれ、動物じゃなくて魔物なんだな。


 ……何か良いスキルを持ってるのかな。

 人間二人と子狐に対してそう思う俺だったが、手を出す気は無かった。

 あの人間たちに仲間がいるかは分からないが、仮にいるのだとしたら、もし殺してしまった場合、なかなか森から帰ってこないことを不思議に……いや、思わないかもな。

 アイツらも言っている通り、ここは危険な森なんだ。

 リスクは承知の上で来ているはず。

 つまり、俺があいつらを殺して、仲間の元に帰らなかったとしても、ただ森の魔物に殺されたと思うだけのはずだ。

 さっきのゴブリン達を見逃した時のように、何かそういうのを特定する魔法だったりスキルだったりがあるんじゃないか? という不安は残るが、仲間がいるというのは俺の仮説に過ぎないし、そもそも本当に仲間いたとして、大切な仲間なのならいくら危険な場所とはいえ、付いていくはずだ。

 

 ……良し、俺の為に、俺が強くなるために、殺そう。

 ここまで考えてもやっぱり不安は残るが、さっき地竜と戦った時もそうだったように、リスクばかりに気を取られてたら俺は強くなれないんだ。

 今はこの好奇心に身を任せて、動こう。

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