第15話

(毒生成!)


 毒生成スキルを発動させた。

 その瞬間、俺の体は自分でも分かるくらい、地面にも広がるくらいにドロドロとしだして、いかにも毒って感じの紫色に変貌した。

 

 ……え? これだけ? ……確かに凄いんだけど、飛ばせたりする訳じゃないし、今この状況でこれだけのスキルなんてなんの意味もないぞ!?

 ……いや、自分の体だし、案外飛ばせたり……しないな。


(ファイヤーボール!)


 そんなことをしているうちにもトカゲは逃げることの出来ない俺に向かってきているから、希望であった毒生成スキルに絶望してる暇なんて無く、俺は直ぐに気持ちを切り替えてファイヤーボールを放った。

 ただ、予想通りと言うべきか、俺のファイヤーボールを意に介した様子無く、トカゲは俺に向かってきている。

 

(ウォーターボール!)


 レベル的にファイヤーボールは連射出来ないし、本当にこのままじゃトカゲに踏み潰されて俺は死んでしまうから、ファイヤーボールがトカゲに効かなかったのを見るなり直ぐに続けるようにしてウォーターボールスキルを発動した。

 すると、そんなことをしている間にも俺の体からはずっと毒が生成されていて、ドロドロとしながらも毒が増えていっていたからか、発動したウォーターボールに俺が作った毒が混ざった。

 ……これは、まさか毒を飛ばせる、のか? 水に混ざったとはいえ、この量の毒だし、俺の毒生成スキルレベルは最大の10なんだ。即効性があるかは微妙だけど、最初考えていた通り、デバフくらいには掛かってくれるかもしれない。


 そう思って、俺はもうこれが効かなければ本当に終わりだと思いつつも、毒の混ざったウォーターボールを放った。

 

「グモぉぉぉぉ!?」


 すると、トカゲは倒れている木々の葉が揺れるほどの声を上げて、俺の目の前に倒れ込んだ。

 ……は? これ、勝った、のか? ……毒に即効性が……いや、今はそんなことより、まだこいつが死んでない可能性がある以上、まずはさっさとスキルを奪い取ろう。

 スキルさえ奪ってしまえば、仮に起き上がったとしても、俺の毒で一度は倒れてるくらいだ。

 かなり身体的にもキツイだろうし、いけるはずだ。


 そして、俺は毒でドロドロとした体のまま倒れ込んだトカゲに近づいて、強奪スキルを発動した。


【種族名地竜からスキル、地震、魔法耐性を強奪に成功しました】


 地竜……? 地竜!? これ、竜だったのか? ……見た目は完全にトカゲなんだけど、スキルの声? がそう言ってくるってことはことはそうなんだろうけどさ。


 そんなことを思いつつも、俺はトカゲ……地竜の上に乗って、体から出てくる毒生成スキルの毒で地竜の体を纏った。

 何も反応が無い。

 多分、最初の毒を含んだウォーターボールの一撃で死んでたってことなんだろうな。

 

 そしてこれは思わぬ収穫ってやつだな。

 毒生成スキル単体なら飛ばしたりできない以上、正直微妙だと思うけど、ウォーターボールと組み合わせたらこの威力の毒を飛ばせるようになるなんて俺は想像もしてなかったし、本当にラッキーだ。

 そもそも、これが無ければ俺はあのまま踏み潰されていた可能性が高いし、運に救われたな。

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