第6話

 あれから先に進んでいると、オークにホブゴブリン、スパイダーにワーウルフと色んな魔物に遭遇した。

 ただ、どの魔物も最大レベルになった俺の超音波の前には無力で全てが俺の糧になってくれた。


(ステータス)


 レベル:44

 名前:無し

 種族:スライム

 スキル:超音波Lv10、嗅覚強化Lv9、暗視Lv10、不意打ちLv7、打撃攻撃耐性(小)Lv2、聴覚強化Lv3、聖魔法耐性(極小)、毒生成、毒耐性、糸生成、噛みつき、打撃攻撃

 ユニークスキル:強奪

 称号:転生者


 もう既に持っているスキルの魔物もいたが、結構スキルは増えたと思う。

 噛みつき……は俺に口が無いから使えないけど、毒生成スキルや打撃攻撃スキルは攻撃スキルだろうし、これで超音波以外でも戦えるな。

 まぁ、打撃武器なんて持ってないし、そもそも手がないんだから、持てない。だからこそ、打撃攻撃スキルの方も腐ってるんだけど、毒生成の方は使えるはずだし、大丈夫だ。

 ……今のところ、スキルレベルが最大になった超音波が強すぎるから、それを使うことになるかは分からないけど。


 と言うか、今更だけど、やっぱりこの先って絶対出口ではないよな。

 だって、進んでいく事に明らかに敵が強くなっていってるし、仮に出口なんだとしたら、意味が分からなすぎる。


 それでも、先に進むことは変わらないんだけどな。

 今の俺の力じゃどうしようもない敵が現れたのならともかく、今のところはそんな敵は現れていないし、そんな敵が現れるまでは強いスキルを奪うために進むべきだろう。

 この洞窟の外で今の俺の力が通用するかが分からない以上、洞窟を出る時は少しでも強くなっておきたいからな。


 そうして、また洞窟の先へと進んでいると、スケルトンが現れた。

 ……今更またスケルトンかよ、っと一瞬思ったが、何かが違う気がした。

 早めに始末した方がいいと思った俺は、直ぐに超音波を使おどうしたのだが、俺が超音波を発動する前にスケルトンが上へと掲げた杖から火の玉が俺に向かって飛んできた。


 あっぶねぇ! 

 ここにきてまさかの魔法使いかよ! 前世でよく聞いたリッチってやつか? ……いや、仮にそうだとしたら、流石に弱すぎるか。

 俺の中のイメージのリッチなんてめちゃくちゃ強いイメージだし、あれは違うと思う。

 いきなりの魔法攻撃でびっくりはしたけど、割と簡単に避けられたし、次を打ってこないスケルトンの様子からして、少し前の俺の超音波と同じようにクールタイムがあるんだろう。


(超音波!)


 わざわざ相手の魔法のクールタイムが終わるまで待ってやる義理もないし、俺は直ぐに超音波を発動させ、いつも通り魔物を倒した。

 そして、レベルが上がったのを確認してから、直ぐに亡骸となったスケルトンに近づいた。


(強奪)


【種族名マジックスケルトンからスキル、ファイヤーボールを強奪することに成功しました】


 おおおお! めちゃくちゃ異世界っぽいスキルだ!

 クールタイムはあるみたいだが、これは絶対に使えるスキルだな。


「調査は終わりだ。そろそろ帰るぞ」


「分かりましたよ」


 内心でファイヤーボールというスキルを手に入れたことを喜んでいると、奥の方からそんな声が聞こえてきた。

 この世界に来て初めて聞く人間? かは分からないが、人の言葉だ。

 幸いと言うべきか、聞き取れる。聞き取れはするが、俺は喋れないし、そもそも、今の俺は魔物だ。

 敵対される可能性が高い。

 ……取り敢えず、あそこの岩陰に隠れるか。

 もしも見つかりそうになったら、善人なのか悪人なのかも分からないし悪いとは思うけど、俺は死にたくない。だからこそ、不意打ちスキルの効果を乗せるために超音波を使おう。

 先手必勝ってやつだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る