第5話

 この辺でバットとゴブリンからスキルを奪ったりしてレベルを上げ始めて、結構な時が経ったと思う。

 思うっていうのは、洞窟の中だから今が夜なのか朝なのかも分からないっていうのと、スライムの体になったからか、どれだけ活動しても眠気が全く無いって理由からだ。


(ステータス)


 レベル:21

 名前:無し

 種族:スライム

 スキル:超音波Lv7、嗅覚強化Lv5、暗視Lv7、不意打ちLv5、打撃攻撃耐性(小)、聴覚強化Lv2

 ユニークスキル:強奪

 称号:転生者


 見て分かる通り、結構レベルが上がったし、そろそろあのスケルトンが居たところへ進もうと思う。

 レベルを上げる途中で分かったこともかなり多いからな。

 例えば、同じ魔物とはいえ、全員が全員同じスキルを持っているわけじゃないってことだ。

 聴覚強化スキルは新しい魔物から奪った訳じゃなく、ゴブリンから奪ったものだからな。

 そして、一番大事なのが超音波のレベルが上がった効果だ。今分かっている限りだと、クールタイム減少に威力が上がっている。


 スキルレベルの最大が10だとすると、このままいけば超音波のクールタイムは無くなると思う。

 ……そう考えると、やっぱりせめて超音波のスキルをせめて10にしてから進んだ方がいいのか。

 危なかった。

 好奇心が勝ってしまって、またあの時のスケルトンとの戦いのようにピンチに陥るところだった。

 よし、さっきはそろそろ進もうと思ったけど、やっぱりもう少しこの辺でレベルを上げよう。




 そうして、またしばらくの時が経った。


(ステータス)


 レベル:27

 名前:無し

 種族:スライム

 スキル:超音波Lv10、嗅覚強化Lv7、暗視Lv10、不意打ちLv7、打撃攻撃耐性(小)、聴覚強化Lv2

 ユニークスキル:強奪

 称号:転生者


 スキルのレベルが10になったが、MAXとは表示されないな。

 そう思っていると、ちょうど天井にいつも通り逆さに張り付いているバットが見えた。

 ……今更だけど、こいつら、どこから湧いて出てきてるんだろうな。

 まぁ、俺としては弱い癖にスキルをくれるこいつらが多い方がありがたいし、全然良いんだけどさ。


(超音波)


 いつも通りバットを超音波で倒した俺は、もう一度超音波を使おうと念じてみた。

 すると、少し前まではクールタイムがあって絶対に使うことができなかったであろう超音波が普通に使えた。

 予想通り、クールタイムが無くなっている。

 これは、もうスケルトンくらいなら余裕で倒せるな。


【強奪できるスキルを確認出来ませんでした】


 バットの体に触れると、いつもとは違った言葉が頭の中に響いた。

 これは、表示はされていないけど、スキルレベルがMAXになったっていう認識でいいんだよな?

 ……これは、なんて言うかな。言葉には言い表せないけど、かなり頑張ったからこそ、達成感があるな。


 よし、今度こそ進むか。

 

 そうして、俺は初めてスケルトンに出会った場所まで戻ってきた。

 すると、早速俺はあの時の選択が正しかったことを思い知らされた。

 なぜなら、俺の目の前には片手剣だけを持ったスケルトンと、両手で大きな斧を持ったスケルトンが二体現れたからだ。

 今でこそ俺の超音波のスキルにクールタイムは無いが、あの時今みたいに二体現れていたのなら、俺は確実に死んでいただろう。


(超音波! 超音波!)


 既に俺は相手に見つかっているし、不意打ちの効果は発動しないが、超音波のレベルが上がって威力も上がっているからなのか、二体とも一撃ずつ超音波を放つだけで倒すことが出来た。

 

【種族名スケルトンからスキル、打撃攻撃耐性(小)を強奪に成功しました】


【種族名スケルトンからスキル、聖魔法耐性(極小)を強奪に成功しました】


 早速とばかりに俺はスキルを奪った。

 正直今聖魔法耐性が役に立つかは分からないけど、ただで奪えたんだし、喜んでおこう。


 さて、今の俺ならスケルトンも余裕みたいだし、先に進むか。

 この先がこの洞窟の出口なのかは分からないが、ここで強くなってから外に出る方が安全だろうし、仮に出口じゃないんだとしても俺としては問題なんてない。

 


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