第24話 初体験

帰りのバスの中、1日楽しんだ2人は、少し疲れた感じで、愛那はあくびをする。


「ふぁぁ・・・」

「疲れた?」

「うん。でも楽しかった。」

「俺も。楽しかった。」


柚羽の肩にもたれる。


「眠たい。」


柚羽は優しく微笑む。


「いいよ。寝て。」


愛那は目を閉じた。


――幸せだなぁ。こんなの初めてだよ。このままずっと、柚羽と一緒にいたい。


愛那は幸せを感じながら、眠りに落ちた。


「はぁ。疲れたなぁ。」


ボフッッッ☆☆

自宅に着くと、柚羽はソファに勢いよく倒れこむ。

愛那は緊張した顔で、リビングの入り口に立ったままだ。


「こっちおいでよ。そんなに遠慮しなくていいよ。」


――遠慮しなくていいって言われても・・・


そう。今日は柚羽の家にお泊りだ。

両親は、愛那の両親に会いに出かけ、姉も彼氏の家にお泊り。

つまり、今夜、この家には愛那と柚羽、2人っきりだ。

という事は、つまり今夜は・・・


「もう。こっちだって。」


柚羽は、愛那の手を引き、ソファに座らせると

ゴロン☆

愛那の太ももに、寝転んだ。


――!!!


「ああ、疲れた。俺も寝ちゃいそう。」


柚羽は目を閉じる。


――な、なんてかわいいの!?柚羽の寝顔!

て、あたし、この体勢のまま、どうしたらいいの!?


目を閉じる柚羽の顔を、愛那は照れながらも見つめる。


――こうやって見ると、イケメンだぁ。大きな目に、スッとした鼻。顔・・・ちっちゃいなぁ・・・


スッと人差し指で高い鼻筋をなぞる。


「んっ・・・」


柚羽は顔をしかめる。


「あっ!ゴメン!」

「いや、くすぐったいだけ。」


柚羽は体を横に向け、愛那の太ももにそっと触れる。


「ちょ・・!」


慌てて柚羽の手を押さえる。


「愛那の水着姿、めっちゃ可愛かった。」


――え?


「可愛かったけど・・・他の奴には見せたくない。」


ゆっくりと上半身を起こす。


「俺だけに見せて。」


2人は、ゆっくりと口づけた。

唇を離すと、愛那は顔を赤らめうつむく。


クイッ


柚羽は、愛那の顔を両手であげ、再びキスした。

何度も唇を挟み、軽く吸うような甘いキス。

愛那は体の力が抜け、うっとりする。


「いいよね?そのつもりだよね?」


優しく尋ねると、愛那は、恥ずかしそうに頷いた。


「好きだよ。愛那。優しくするけど、痛かったら言ってね。」

「うん・・・あたしも・・・柚羽、大好き・・・」


柚羽は、ゆっくり、優しく、首筋にキスをする。


―――ん・・・


くすぐったいような・・・なんともいえない感覚が体中に走る。

そのままゆっくりと、ワンピースのファスナーを下ろすと、白い透明感のある肌に、薄いピンクの可愛らしいブラジャー姿の愛那に、柚羽は、胸の鼓動が早くなるのを感じた。


―――水着姿とは全然違う。


プールで見た水着姿とは全く違う。

下着姿の愛那は、元々の美貌とあいまって今までにないくらい色っぽかった。

恥ずかしそうに両手で胸を隠す愛那の背中に手をまわし、ゆっくりとブラのホックをはずす。

肩紐が、愛那の肘までにスルリとたれる。


「恥ずかしいよ・・・」


泣き出しそうな顔の愛那を見て、もう柚羽は自分を止める事はできない。


「可愛いいよ。恥ずかしそうな愛那も。いつもの元気な愛那も、だから、見せて。全部。」


そっと頬にキスしながら、柚羽の大きな手が、胸を隠していた愛那の細い腕を下ろすと、スッと、ブラジャーが腕をすり抜け、床に落ちた。


「かわいい。愛那の全部。すべてが可愛くて大好きだ。」

「あたしも、柚羽が大好き。全部、大好き。」


愛那は、柚羽の首に手を回し、ギュッとしがみついた。


◇◇◇◇◇


目覚めると、隣には柚羽の姿が。

愛那は急に恥ずかしくなる。


――あたし、柚羽とやっちゃったんだ。


柚羽の寝顔をじっと見つめる。


――痛かったけど、優しかったなぁ。柚羽・・・。


「大好きだよ。」


頬にキスする。


「う・・・ん・・・」


ゆっくりと目覚める柚羽。


「あ・・・おはよ・・・」

「おはよう。」


愛那は急いでベットから下りる。

洗面所に行き、鏡で自分の顔を見る。


――あたし、無我夢中だったけど、変な顔してなかったかなぁ。声、大きくなかったかなぁ。


「なんで逃げるの?」


後ろから柚羽が抱きしめる。


「あ、あたし・・・変な顔じゃなかった?変な声・・・出してなかった?」

「変な顔?」


柚羽は耳元に、唇を近づける。


「めちゃめちゃエロい顔してた♡」


カアアア――////


「何度も、やめて、いく・・・」

「あああーーー!!!わかった!!!もういいから!!!」


愛那は顔を真っ赤にして立ち去った。


後ろ姿を愛おしそうに見つめる柚羽。


「かわいい。」



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