第18話 インターハイ予選
インターハイ予選が近づき、ユニホームが配られた。
「スタメンは、これまで通り
加藤、足立、竹内、吉田、高橋、小野、リベロ藤川。
ベンチで、堀、山田、石川、今井、世良。」
名前を呼ばれた選手は順番にユニホームを渡された。
なかにはユニホームをもらえず、悔しがる2年もいた。
「すごいね、頑張ってね。」
愛那はもらえなかった2年に配慮して、控えめに声をかけた。
「ありがとう。」
紗代、侑里禾、知佳は小さく微笑んだ。
男子もユニホームが配られた。
安はベンチ入りする事になり、喜ぶ。
練習が終わると、安が愛那のもとに駆け寄る。
「愛那ちゃん、今日も一緒に走らない?」
近くにいた女子部員が振り返る。
「え?いや、今日は・・・」
愛那は周りを気にしながらシドロモドロに答える。
「なになに?愛那と安君は、そういう関係なの?」
紗代がネットをしまいながら寄ってくる。
「あたし達は反対しないわよ。良い事だと思うし。」
加藤まで笑いながら寄って来た。
「違います。そんなんじゃ・・・」
「いいんじゃない?彼氏と一緒に切磋琢磨するのも。」
知佳も澄まし顔で言う。
――違うって!みんな勝手に何言ってんの?!
「じゃあ、一旦帰ったら迎えに行くから。」
――はあ?迎えに行く?ちょっと待ってよ。
「安君て、春川さんの事好きなのかしら。いいわね、グイグイ行くタイプって。ねえ、後輩の恋愛は、応援してあげないとね!」
令実は、柚羽に言うと、柚羽は何も言わず、全部のボールを床にぶちまけた。
「何やってるの!?」
令実が驚く。
「安!ボールの空気が入ってないぞ!全部入れとけ!!」
「え!?練習前にいれたけど・・・おかしいな。」
――ああ、やっぱり・・・面倒くさいな。
愛那は柚羽の顔を見ながらため息をついた。
◇◇◇◇◇
試合当日。
愛那は部屋から柚羽にラインを送る。
「試合、頑張ってね!あたしも応援がんばる!」
「うん。ありがとう!」
しばらくすると、安からラインが入る。
「今日の試合、頑張ってくるね!」
――ああ・・・
「頑張ってね!」
――安君、すごく良い人なんだけどなぁ。
柚羽がすく怒るから。
玄関に行き、靴を履く。
「愛那、今日試合だっけ。まだ応援かもしれないけど、頑張って!」
笑愛は親指を立てる。
「ありがとう、笑愛ちゃん!いってきまーす!」
「いってらっしゃい!勝てるといいわね!」
「応援してますよ。」
祖母と、順子さんも見送ってくれた。
「愛那ー!」
試合会場に着くと、紗代が手を振って呼んでくれた。
「おはよう!」
「おはよう!」
紗代、侑里禾、知佳は、ユニホーム姿で集まっている。
「いいなぁ。ユニホーム!あたしも着たいなぁ・・・」
「愛那なら・・・もう少し待てば着られるわよ。」
知佳がボソッと呟く。
「お!?」
「なによ。」
「いや、何も〜。」
紗代は何か言いいたそうにニヤついた。
体育館が開き、続々と中に入る。
愛那達は、白地に黒いラインの入ったユニホームの集団とすれ違う。
加藤はその集団のエースに気がつく。
今泉だ。
今泉も加藤に気が付き、軽く会釈をした。
試合時間が近づき、選手はアップを始める。愛那達は球拾いやフォローを行う。
ピーッッ!!!
ホイッスルが鳴り、両チームの選手がライン沿いに並ぶ。
ピーッッ!!!
インターハイ予選が始まった。
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